社長のとりあえずこれ聴いてみ?
マイテ・マルティン/愛のあるところ
「最初は何を聴けばよいのでしょう?」
フラメンコをほとんど知らないが、ふとそれに興味を持ち始めた、やさしく美しい女性にこう尋ねられる場合は、迷わずマイテ・マルティンを薦めることにしている。

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マイテ・マルティン/愛のあるところ]VIRGIN 2000年
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私の場合、このCDを三枚持っている。
家と仕事場と散歩用のCDケースに一枚ずつ、あたかも心臓発作にそなえるニトログリセリン的常備薬のようにそれは在る。
誰しも、世の中の理不尽に打ちのめされることは多々あるわけだが、心の中のサンドバックを打って打って打ちまくっても心が晴れない時など、泣きぬれて蟹とたわむれながら聴くCDはマイテ以外にない。
冒頭のむせび泣くブレリアで早くも立ち直りを予感し、ラストの夢の通い路のようなブレリアを聴くころには、悪いのは世の中じゃなくて間違えてるのは俺じゃねえの?と思えてくるから不思議だ。
すぐにそれとわかる感受性ゆたかな歌声。
何より響きに潤いがある。
彼女のカンテは傷つき疲れた感情のヒダの中にそっと分けいり、美しい陰影と余韻にあふれた詩をしっとりと発散させる。
深く歌う旋律は、魂を心底からゆさぶる。
マイテは頭脳ではなく心で考えて、それを私たちに伝える。それによって私たちがもともと備えている魂の動機と機能が急速に回復に向かう、という仕組みなのだろうか。
ぼんやりと耳を傾けてるだけでエネルギーがみなぎってくるのだ。
天衣無縫な歌いまわしが決して集中力を失わないのも、常にしなやかな求心力に貫かれているからだろう。
こうして、先ほどまで“絶望”と感じられた痛みは、その心の傷の中から生まれた“希望”へと変貌を遂げてゆくのだ。
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以上が冒頭の問いに対する私のノーガキだ。
ちなみに私の場合、フラメンコをほとんど知らないが、ふとそれに興味を持ち始めた、やさしく美しい女性にこう尋ねられた事は二度や三度どころではなく、この23年間、不思議なことに一度もない。きっぱり。
純粋度
★★★★★
心底癒され感
★★★★★
元気回復度
★★★★★
(しゃちょ)