TOP > ニュース

ニュース

フライング情報を中心に


2009/02/20金(その306)

ツバメンコとガデス舞踊団





アントニオ・ガデス.jpg



 いよいよ2月28日、東京・文京シビック大ホールを皮切りにスタートする、アントニオ・ガデス舞踊団の待望の来日公演
 私としても可能な限り公演に駆けつけ、ロビー設置のパセオブースにて、ガデスDVDなどの呼び込みのおっさんをやらせてもらうつもりだ。



ガデス.jpg



 本番中はもつろん舞台を観させていただく。
 あの今井翼さんもご来場されるとのことで、招聘元のチョー美人広報さんが気を利かして、彼とツバメンコ師匠(佐藤浩希さん)と私の席を、くっつけて押さえてくれた。
 会場客席に運良く彼を発見できたら、遠方より両の手で拝むつもりだったが、おかげで翼さんと直接お目にかかれそうなのは思いがけない幸運。
 翼さん本人は毎日観ることを熱望されてるそうだが、チョー多忙は人気者の宿命なので、それはさすがにご無理というものだろう。

 つい十日ほど前にもタモリさんのTV『笑っていいとも!』における語りで、フラメンコ大使としての使命も存分に果たしてくださった翼さん。
 「やっぱ、若い子ばっかりのジャンルはだめだよなあ」というタモリさんに、
 「その人の人生観が出てくる踊りっていいですね」みたいに受けたコメントは、
 フラメンコの神さまをめっちゃ喜ばせてくれた。

 「フラメンコ踊ってんだってぇ~? 今井翼~」
 私の仕事にまったく関心を示さない周囲の連中でさえ、そんな事を云い出す昨今。
 せっかくの有り難い機会なので、彼のフラメンコ普及への大きな貢献について、ひと言だけでも、心からの感謝を述べさせていただきたいと思う。



 尚、「タキツボから飛び込む覚悟でタキツバのCD買いますたあ 」という、むさ苦しいおっさんの苦心談は永久に封印するつもりなので、皆さま方もどーかそのつもりでしっかりダマっといていただきたい。




2009③.jpg
     【月刊パセオフラメンコ3月号(本日発売)
    特集:アントニオ・ガデス舞踊団/未知への疾走】










2009/2/17火(その305)

本番収録完了!





鈴木敬子DVD 144.jpg




 パセオの人気DVDシリーズ「自宅でクルシージョ」。
 その最新作⑧「フラメンコはライフワーク」は4月20日発売予定。
 出演はバイラオーラの鈴木敬子とその生徒たち。
 カンテはアギラール・デ・ヘレス、ギターは矢木一好。
 レッスン素材は、初級から先生までが同じ振付で踊るアレグリアス。
 人生そのものとリンクするレッスン裏コンセプトを、「自ら長所を発見し、磨き伸ばす歓び」あたりに置き、本日イッキに撮り上げた。




鈴木敬子DVD 111.jpg




 先日やっちまった肉離れも、本番収録を前に予定どーり昨日完治していた。
 朝イチでスタートしたその撮影を先ほど打ち上げ、いまさっき家に戻ったところだ。
 ぶっつけ本番のレッスンシーンは、ほとんどイッパツでオッケー。
 明るさと真剣さとがクロスオーバーする自然体なレッスンをまんま切り撮った。




鈴木敬子DVD 121.jpg

鈴木敬子DVD 087.jpg




 何が起こるかわからないスリリングな現場作業には、フラメンコならではの醍醐味がある。
 そこに生じるさまざまなハプニングや感動は、一生ものの想い出に転ずる。
 明日からは映像編集やブックレットの執筆・編集など、仕事はてんこ盛りだが、事前のイメージを上回る映像が撮れたので、とりあえずほっと一息だ。
 事前のダメージなどは、それですべて吹っ飛ぶのである。




鈴木敬子DVD 091.jpg




 つーことで、
 本日いつばんよく動いた連れ合いをねぎらうために、
 いまからご近所“秀”で軽く祝杯の段取りだす。




鈴木敬子DVD 110.jpg



 (写真はすべて、本誌パセオでもおなじみの川崎栄さん)









10/15水(その287)

TVでツバメンコ





 TVでツバメンコ



 『FLAMENCO曾根崎心中』で徳兵衛(=佐藤浩希さん)と熱いバトルを繰り広げる九平次親分こと、人気バイラオール矢野吉峰さんの今日の日記



08①矢野/ハンサム.JPG



 ツバメンコファンはもうご存知だろうが、フラメンコファンもとりあえず、こちらでチェックするとよろし。
 もつろん、親分も徳兵衛師匠も生パルマなどでツバメンコをバックアップ。
 しかもカンテは石塚隆充さん、ギターは柴田亮太郎さんというスーパー生伴ユニットらしいぞ。


 ところで。
 ツバメンコ関連記事掲載予定のパセオ新年号。
 この号からスタート予定で、この私がますたを務める“バル de ぱせお”のその栄光の第一回ゲストは、
 な、なんとお!
 この矢野吉峰さま!!!なのでありますた。



08①矢野/九平.jpg



 ますたの相方ヨランダ★制作によるチョー大吉手ぬぐい(推定時価三億)に釣られて、ノーギャラであんなにすんばらしい投稿寄せてくれちゃった九平次親分よ。
 こんどまた、血を吐くまで呑もーね!



   定番/出るパセ/手ぬぐい.jpg


08①タイトルヘッド.jpg









10/06月(その283)

今井翼/ツバメンコの衝撃





  World's Wing 翼 Premium 2008




 力をためる、そのハードな立ち姿はまさしく“フラメンコ”だった。


 その瞬間今井翼は、日本の芸能界史上もっともフラメンコに接近できるダンサーとなった。
 世界の一流ミュージシャンたちを苦しめた、テンポの速い変則アクセント付きの三拍子。
 フラメンコの超難関“ブレリア”に敢えて挑んだ彼は、振付を踊るのではなく、明らかに彼自身の内側から湧き出る自発的な希求を、フラメンコなやり方で踊りきった。

 フラメンコを始めて1年半足らず、と聞いた。
 その進化のスピードが超人的である一方で、フラメンコは甘くない。
 プロフェッショナルなダンスとして充分すぎるほど成立してはいるものの、当然ながらフラメンコ的な課題は盛り沢山と云わなくてはならないだろう。
 だが、そうした険しい道のりの舞踊ジャンルだからこそ、今井翼は敢えてフラメンコを選んだにちがいない。その不敵な真っ向勝負のアプローチに好感を抱きつ私はそう確信していた。


 ――――――――――――――――――――――――


 おとつい金曜、今井翼さんの10月東京・日生劇場公演のプレス用ゲネプロを観た。
 会場前で今井翼さんのフラメンコの師匠である佐藤浩希さん、鍵田真由美さんの『FLAMENCO曽根崎心中』(阿木燿子:プロデュース/宇崎竜童:音楽)コンビらと合流。スペインにもその評判を轟かせるフラメンコのトッププロとして、NEWSWEEK誌の『世界が尊敬する日本人』に選出されたお二人だ。
 いつもの明るい笑顔でかけ寄る佐藤に、売切騒動の原因となったパセオ10月号の浩希・翼対談の礼を述べながら会場入り。彼にはツバメンコの最終チェックの仕事が残されている。

 さて、この東京公演に先立ち、僭越にも私はmixiの今井翼コミュに「フラメンコを踊る今井翼」なるトピックスを立てさせていただいた。
 そこに多数寄せられるコメントは豊かな見識・感性・愛情にあふれる真摯な内容で、私の日記経由でそのトピに遠征した多くのフラメンコ仲間は、一様に目からウロコを落としていた。
 私にしても彼らのコメントによって、ゲネプロでチェックすべきポイントを事前に整理できたことは望外の成果だったのである。


 第二部トップに配置されたフラメンコの開演前。イッキに魅せた第一部のダンス・エンタテインメントの興奮を冷ましながらも、やはり私は思い出していた。かつて長期にわたりフラメンコ舞踊に真摯に取り組んだ、女優・山口智子さんのことを。
 フラメンコは彼女の人生を豊かにしたであろうし、また同時に、彼女はハンパでない数のフラメンコ人口を増やすことで、日本のフラメンコ史に多大な貢献をもたらした。そうした数の増加(普及)がやがて質の向上(発展)をもたらす歴史を、わが身に体感してきた私にとって、“ツバメンコ”の出現はまさしく大事件だったのだ。

 芸能界は、選び抜かれし者のみが残ってゆく弱肉強食の典型社会だ。
 常日頃の鍛錬の積み重ねによって芸能に秀でるスターたちが、熾烈なサバイバルのかたわら、フラメンコという、とてもハンパな覚悟では取り組むことの出来ない終わりなきジャンルに、長いスパンで熱情を傾けてくださること。その一点のみにおいても、私のような立場にある者は深い感謝と感動を覚えざるを得ない。

 そんな想いに鋭い閃光を浴びせるかのように舞いはじめられた“今井翼のフラメンコ”は、冒頭の如くに、そうした次元を飛び超えるクオリティと巨大なポテンシャルをいきなり発生させていたのだった。
 詳細レポートについては、幸いにもパセオ1月号でお伝えできる可能性が出てきたので、駆けつけたパセオの若手取材チームにそちらは任せたい。

 さて、彼の師匠がパセオ誌上で語った「僕の夢は、翼くんスペインデビュー。これが目標。そこまで一緒に闘っていきたい」という入れ込みには、さすがの私もどん引いた。
 だが、この両の目に焼きついたツバメンコは、充分すぎるくらいに佐藤浩希の言葉を裏付けてくれるものだったのである。
 願わくば向こう十年。ほんとうを云えばライフワークとして。並外れたダンサーの資質の上に、フラメンコへの高き志と強靭な集中力が持続されんことを。





空/ツバメ.JPG









10/5日(その282)

急遽!アントニオ





マルケス②.jpg




 ついさっき、招聘元から送られてきたDVDで『アントニオ』を観た。
 この11月に来日するアントニオ・マルケス舞踊団のライブ収録ものだ。

 ほんとを云うとあまり期待してなかったのだが(あ、ごめんなせえ)、理屈ぬきで楽しめる構成と、美しいスペイン舞踊の世界に、このクソ忙しい中をいっきにラストまで観せつけられてしまった。

 昔から完成度の高さに定評のあったアントニオ・マルケスは、私の知らない間に、それこそ伝説のグラン・アントニオをも彷彿とさせる、たくましくもエスプリ豊かな大型バイラリンに変貌していた。
 NHKで放映されたあの驚異の超絶サパテアードにもびっくりだが、磨き抜かれた華麗なる群舞はメンコファンなら一度は観といて損はないと保証できる。


 私も7日の方に行くことに急遽決定!って、
 カラオケ大会はどーすんだあああ!!!!




 あっ、こんな(↓)粋な計らいもあるので、行ける人は利用すべし。

アフィシオナード特別チケット受付
期間限定発売中! 各公演限定100枚
受付期間:~10月10日(金)12:00
価格 S席:¥11,000⇒¥9,000  SS席:¥14,000⇒¥11,000
申込方法:
(1)PC、携帯から: 受付URL http://eplus.jp/antonio/
(2)電話から: TEL.03-3403-0155 10:00~19:00

パセオ広告.jpg









6/30月(その270)

“バル de ぱせお”の投稿募集





           しゃちょjpeg.jpg





 ウェブ(当欄やmixiトピ)+紙メディア(月刊パセオフラメンコ)の連携のよる新型読者ページ(バル de ぱせお)の制作プロジェクトが本日いよいよスタート!
 ほんの少しでもフラメンコを愛する方なら、どなたでも参加できます。
 スベってよし、転んでよしの原稿大募集をスタートするので、どーぞ皆さまよろすく。

 ―――――――――――――――――――――――――
  今月のお題
 「フラメンコやっててよかったあ!と思う瞬間」

 ―――――――――――――――――――――――――

【エントリー方法】
 8/31までに、このメール・アドレス(↓)まで原稿と写真を投稿すれば完了。
 koyama@paseo-flamenco.com
【コメント字数】約400字(18字×22行みたいな感じでパセオに掲載)
【タイトル】10文字程度
【名を名乗る】△△県・○○○○(本名でもハンドルネームでも)

 ―――――――――――――――――――――――――

【パセオに掲載する号】
 2009年新年号(12月20日発売)

【コメント採用の決め手!】
★そりゃ文章はウマいに越したことはないけど、何つっても中身やアイレが肝心!
 フラメンコな知恵や癒しや笑いや元気がもらえるやつで、いー感じの読後感が採用の決め手! 9月上旬に採用原稿を決めて、掲載OK確認のため“ますた”から直接メール送ります。そのあとお手数かけるが、印刷用の写真1点(RGBで3メガ程度)をメール送信頼みます。
★採用のご褒美として「手ぬぐい1本」&「パセオ掲載号1冊」を発売時に郵送。
 “今月のお勝ちメンコ”にはさらに「DVD1本」。
★三年間36回連続挑戦してすべて不採用の方はパセオ社長賞ゲット。とにかく根気のあるチャレンジャーが“ますた”は大好きなので、まだ未定だけど、たぶん凄んげえ賞品ゲット!

 ―――――――――――――――――――――――――

 2008年6月チョー吉日

       バル de ぱせお ますた、こと
       株式会社パセオ 代表取締役社長 小山 雄二









2/16土(その255)

スーパー・フラメンコ





 「タイトルどうですかね? あくまで仮なんすよ、これ」
 「あ、そーなの」
 「何かいいタイトル付けてもらえませんか?」
 「んー、でもこれいーかも」
 「適当につけただけなんですけど」
 「でもほんとに“スーパー”だしなあ。まんま行っちゃお」



すみだ1.jpg



 命知らずのハイリスク&ハイクオリティなコンサート主催で、コアな音楽ファンの絶大な信頼を獲得している“すみだトリフォニー”。
 その担当プロデューサーとこんなやりとりをしたのは昨年夏ころだったか。
 家族や社員や呑み仲間に私のアドバイスを求めようとする謙虚な人間は一人もいないが、私の真の実力を知らない方々はおおむね私のアドバイスに忠実である。最初の一回だけは。(TT)



 トリフォニーホールは、私の青春の故郷とも云うべき錦糸町にある。
 都電車庫に江東デパートに楽天地、場外馬券所にパチンコにディスコ、キャバレーにラブホに赤提灯……。
 あの素敵にただれた想い出は戻らないが、錦糸町は夢のようなフラメンコに出逢える街になった。

 今週土曜はいよいよ、トマティート(ギター)とドランテ(ピアノフラメンコ)の“スーパー・フラメンコ”。
 待ちに待ったというか、以前パセオでクローズアップした若手実力者ホセ・マジャの踊りにも、明日はいよいよご対面である。うっきー!


 つーことで本日夕方より、売れ行き絶好調DVDスーパーカスタネットの打ち上げ。



自宅⑤小林伴子ジャケット.jpg









12/28金(その247)

スーパー・カスタネット





 前回のお約束。
 来月20日に発売するDVDのライナーノートをフライング掲載しよう。
 前例のないことだが、本業の“フラメンコの月刊誌発行”自体が前例のないものだったので、「前例の有る無し」というのは私にとって空しい話なのだ。

 ま、しかし、これは手間のかからぬ優れた宣伝プロモーション作戦とも云えるわけで、逆効果(映像内容は最高なのに売れなくなる)を確信する一部社員(←約全員)の猛反対こそ喰らったものの、私はこれに踏み切った。
 このDVDのプロデューサーである私が書いたライナーは、確かに文章はまずいが、そのかわりにやたら長い。
 つまり、最後まで読み抜く根性のある方はほとんどいないだろうというのが、沈着冷静な私の読み筋である。



 ――――――――――――――――――――――――

 自宅でクルシージョ⑤小林伴子
 フラメンコを歌う!スーパーカスタネット
 (『舞踊家・小林伴子とは』~ブックレットより転載)


自宅⑤小林伴子ジャケット.jpg


 「おだやかにして清楚な麗人」の正体


  「スペインから大物バイラオーラが帰国した。
 なんでもたいへんな資格を取ったらしい」

 そんなビッグニュースがパセオに舞い込み、何はともあれと彼女のもとへ駆けつけたのは1986年のことだった。

 スペイン王立舞踊演劇高等芸術学院(コンセルバトリオ・デ・マドリー)
 公認・スペイン舞踊師範資格


 当時でも取得には通常5年を要する大難関。
 それを見事に突破したガッツと才能にあふれる舞踊家とくれば「猛烈にして爆発キャラの大姐御」に違いないというイメージを胸に秘め、怖いもの見たさで訪れた取材先は、新設されたばかりの東京・高田馬場のフラメンコスタジオ。

 だがしかし、そこに居られたのは私の先入観を根本から覆す「おだやかにして清楚な麗人」だった。
 誰あろう、当DVDの主役、小林伴子さんその人だったのである。
 うれしい誤算にどぎまぎしたこの最初の出会いから、すでに20数年の歳月が流れた。



 『私は1978年2月にスペインへ留学し、85年12月、ほぼ8年間にわたるスペイン生活に区切りをつけて帰国しました。
 私の経歴においてコンセルバトリオのスペイン舞踊師範資格取得という項目は、ストレートに言えば、私の舞踊教授活動を社会的に認知してもらう上でとても役立っていると言えるでしょう。
 ただ、そもそも私は「フラメンコを体得したい」、「少しでも本物に近づきたい」という一念で留学したわけで、コンセルバトリオの免状を取ることを目的にスペインに行ったわけではありませんでした。
 スペインでの最初の1年は、そんな学校の存在すら知らずに過ぎていったのです。……』



 かつてパセオのフラメンコ留学特集に小林伴子がこう寄稿してくれたように、コンセルバトリオの免状を取得することなど、留学当初の彼女自身にはまったく予定外のことだった。
 いや、そもそも小林のフラメンコ留学自体が周囲の意表を突くサプライズそのものだったのだ。

 幼い頃から踊ることが大好きだった小林は、美大卒業後、宝石会社のデザイナーとなる。
 そして入社間もなく、なんと彼女はその業界の国際的登竜門と云われる[デビアス国際賞]を受賞する。
 しかしその直後、前途洋洋たる宝石デザイナー小林伴子は、バイラオーラの道へと、突然の進路変更を決意することになるのだ。

 当初3ヵ月の予定だったフラメンコ留学は、「芸事に3ヵ月は短いから、3年は行ってきなさい」という母親の応援を得ることで本格的な様相を呈する。
 のちの師範資格へのチャレンジは、母親の応援に対する返礼のニュアンスもあったにちがいない。

 留学生活も半ば、通常のフラメンコのレッスンに加えて、コンセルバトリオの課題をこなすための練習が6時間、さらに夜はタブラオの仕事という超ハードな毎日。
 タフな彼女もさすがにこの頃は大変だったようで、日本の仲間たちが短期留学でカッコいい振りを習い日本に持ち帰るのを横目で見ながら、資格試験のための様々な勉強をこなさねばならない状況に、ひとり焦りを感じていたのだろう。
 折しもスペイン旅行中に立ち寄った母親に、ついうっかりグチをこぼす。
 すると母親は、キッパリこう云った。

 「私を喜ばせるために免状を取るのだったら、やめてちょうだい」

 やめたければやめればいい。
 それまで何も云わずに応援してくれた母のひと言で小林は逆にハラをくくる。

 「やろうと決めたことには、きちんとケリをつけよう」

 やさしい容姿と物腰の、小林伴子の実際の中身は強靭さそのものだった。
 うっかり外見に騙されつづけた私が、そのことに気づくのは、彼女が文化庁芸術祭賞を受賞(1991年)した頃だと思う。


 小林が帰国した頃の日本のフラメンコ人口は、現在の1割にも満たず、アーティストも関係者もみな一様に大変な時代だった。
 バイレ人口の少ない日本で帰国後すぐにスタジオ開設というのは、スペイン公認の大看板を背負う小林にとっても大きな冒険であり、その困難には想像を絶するものがあったろう。
 当時の日本のフラメンコたちは、明日をも知れぬ不安の中で、それでも迷うことなく「フラメンコとともに生きたい」という希望だけを胸に、淡々と皆それぞれの“プロジェクトX”に取り組んでいたのだ。



 「持久力に優れる小林伴子は、実は瞬発力の人だった」


 2007年の春、カスタネットの名手・小林伴子さんを迎えてDVDを創ろうという話が社内に持ち上がった時、ちゅうちょなく私はその現場監督役を引き受けた。
 久しぶりに制作現場の空気が吸ってみたくなったということもあるが、ほぼ同世代の小林さんは私にとって戦友の如き存在であり、私がプロデュースを担当できることはとてもラッキーなめぐり合わせに思えた。

 DVDの出演依頼のため“ラ・ダンサ”にご挨拶に赴くと、快諾くださった小林さんは「あの頃の小山さんは紅顔の美青年だったね」と爽やかな笑顔で昔をふり返り、「あの頃の私が真実で、今は仮の姿です」と私は答えた。


 今回のプロジェクトでは、彼女との打ち合わせの合い間に様々な楽屋話を知ることができたが、中でも「カスタネットのみ左利き」のエピソードは強いインパクトを残す。
 カスタネットの試験のために猛烈な練習に明け暮れる小林は、利き手の右指を故障させてしまう。
 普通なら落ち込んでにっちもさっちも行かなくなるところだが、彼女は左手を利き手にすることを思い付き、試験をクリアしてしまう。
 カスタネットを打つ時だけ、今でも小林が左利きなのはそのせいだ。
 この話に唖然とする私に、彼女はこう付け加えた。

 「でもメリットの方が大きい。
 もともと右利きなので、右手で打つベース音を歌わせやすいから。
 カスタネットは利き手を変えるのが正解かも」……だとさ。
 どーです、この前向きさ加減は。


 DVDの撮影方法について、小林さんと私は幾度もぶつかり合った。
 リスクを軽減するために石橋を叩いて渡る慎重論を主張する私に、彼女はそれとは対極のやり方を望んだ。
 愛と知性のマネージャー春名さんや、映像ディレクターの寺田さんの空気を読み切ったアドバイスがなければ、さんざ叩かれた気の毒な石橋は木っ端微塵に吹き飛ばされていたことだろう。

 ほんとうに作品は完成できるのかという私の焦燥感が解消されたのは、実に撮影当日の本番スタート直後である。
 何のことはない。
 すでに30年以上もフラメンコにおける数々の修羅場を乗り越えてきた彼女にとって、レッスン現場の撮影など朝メシ前のことだったのだ。

 最終的に必ず何とかする、という一流プロの自信と責任感を目の当たりにしたその日。
 収録を終え帰宅した私は、明け方近く、久々に味わう制作現場の緊張感・充実感を辛めのスコッチとともにぐびっと飲み干した。


 小林伴子のステージやライブ映像を観ると、カスタネットとサパテアードの色彩豊かな連携が、相乗効果的な迫力を生み出していることに誰もが気づく。

 「カスタネットもサパテアードも、根っ子はまったく同じ。
 どちらもただフラメンコの表現に奉仕するもの。
 靴で床を打つのか、手でカスタネットを打つのかの違いだけ」

 小林伴子のカスタネットに対する愛情が尋常でないことは明らかだと思われるが、そのことを突き詰めると、このように彼女の返答は実にそっけない。
 もしかすると「フラメンコを体得したい」、「少しでも本物に近づきたい」と留学前に願った初心を忘れまいという意識が、カスタネットだけを突出させることを抑制しているのではないか。
 小林の優先順位は常に“フラメンコ”がトップなのだ。

 かつて小林と共演したあのホアキン・グリーロが、彼女のやっていた2拍3連のコントラティエンポにヒントを得て、当時参加していたパコ・デ・ルシア・セクステットのライブでそれを披露(逆輸入)したことは、業界ではちょいと知られる話だ。
 それも、カスタネットではなく、サパテアードの話であるところがおもしろい。


 さて、「おだやかにして清楚な麗人」というフラメンコからはかけ離れた外見の印象は昔も今も変わらないが、このDVDを共に制作するプロセスで、持久力に優れる小林伴子が実は瞬発力を本領とするアーティストであることも明らかになってきた。

 切羽詰まりそうな局面になればなるほど、彼女が発揮する度胸と愛敬と技術は、まさしくフラメンコなオーラを放ち、その場その場を救ってくれたのである。

 完成したこのDVDを眺めながら、また、制作中のやりとりを思い出しながら、時には相反する突出した才能の数々を巧みにバランス・コントロールする、この極めて優れたバイラオーラの輪郭がおぼろげながら視えている。

    (株式会社パセオ代表取締役 小山 雄二)


 ――――――――――――――――――――――――


 心地よい眠りから醒め、最後の三行だけ読もうとしている貴方よ。
 夢うつつのまんまパセオのネット通販で予約すれば、あなたの2008年(=カスタネット元年)はチョー大吉まちがいなしである。









12/13木(その246)

回復力





 やっ、ごぶさたっ!

 約四ヶ月ぶりの“社長室”であります。
 この夏から、最大の道楽とも云えそうな各種ブログを休んで、いくつものプロジェクトに没頭してましたが、やっとのことでその三つばかりにケリをつけたところ、目出たくも、このたび新たな大プロジェクトをおっ始めることとなりました。(TT)

 そう……、キリがない。
 さらに、このままではHP担当者に更新されない“社長室”を閉鎖されてしまう恐れもあるため(←もう、原稿アップのやり方も忘れてるし)、ほとんど発作的にこれを書いてるところだ。
 月にいっぺんぐらい書けば、担当者に許してもらえる可能性もあるので、私としては精進あるのみである。


 ――――――――――――――――――――――――


 さて、ほぼ終わったプロジェクトの中で、いちばん面白かった現場は久しぶりの映像プロデュースだった。
 私が制作したDVDがこれ(↓)で、あとは来年1月の発売を待つだけとなっている。


自宅⑤小林伴子ジャケット.jpg


 リハ、本番、編集にかけて毎日3時間ほどの睡眠で、ろくにメシも喰わずにハマり続けた結果、なんと私は十日ばかりで7キロも痩せたのである。
 理想体重まであと5キロの所まで迫ったのには我ながら驚いた。

 周囲の反応も上々で、それまで丸々と太ったブタを見るような目で私を見ていた彼らは、痩せたタイプのブタを見るような目で私を見るようになったのである。
 その十日後に体重がすっかり元通りになったことにはさらに驚いたが、むしろ私はその驚異的な回復力に拍手を贈りたいと思う。

 ま、しかし、理想体重(60キロ)達成の夢も捨て難いので、こんどDVDを作る時には2本いっぺんにやりたい(鍵田真由美と佐藤浩希とか)と思ったことでした。


 尚、次回社長室では、社内で大ひんしゅくを買ったDVDのライナーノート(←私が書いた)全文をのっけたろーかと思っています。









8/22火(その245)

近未来の求人案内






               しゃちょjpeg.jpg



 現在のところ求人はありませんので、近未来のためのパセオ求人記事です。

 近い将来パセオフラメンコで仕事をしたいっ!と強く希望される方は(い、いるのか?)、以下①~④についてを郵送またはメール(Word文書)にて下記までお送りください。随時受け付けいたします。

 ――――――――――――――――――――――――

①履歴書(顔に自信のない方も写真添付)
②希望するセクション(編集/広告/販売/制作/招聘/経理総務/その他何でも)を希望順に。
③希望するポジション(アルバイト/契約社員/平の正社員/編集長/プロデューサー/販売部長/店長/次期社長/その他何でも/外注執筆者・カメラマンなどもOK)を希望順に。
④具体的な企画書『私はパセオでこうしたいっ!』(文章と顔に自信のない方も2000字前後で)


〒169-0075 東京都新宿区高田馬場2-4-12
株式会社パセオ
代表取締役社長 小山 雄二
koyama@paseo-flamenco.com

◆応募意欲を低下させる社長ブログ一覧
 ◇パセオフラメンコ社長室
 ◇フラメンコ超緩色系
 ◇mixiは“パセオフラメンコ社長室”でコミュニティ検索を

 ――――――――――――――――――――――――

 いただいた文書を精読のうえ、適性についての率直な感想を必ずご返信いたします。
 また、求人が発生した折には、いの一番にお声を掛けさせていただきます。
 では、よいご縁がありますように!











7/19木(その240)

踊る占い師のパセオ・デビュー!





 さっき気づいたのだが、な、なんと、web仲間の売れっ子占い師マリィが、突然この8月号からパセオ・デビューしてるではないか。



07⑧マリィ.jpg



 彼女は、こんなすてきなホームページ「西洋占星術/マリィ・プリマヴェラ」を主宰する、もちろんフラメンコを“踊る占い師”なのである。

 年令は明らかではないが、占星キャリア20年以上のベテランなので、たぶん20歳以上のチョー美人であると推測できるだろう。
 私もご好意で占っていただいたことがあるが、その切り込み鋭い大当たりに、もろにドキリとさせられたことは記憶に新しい。



 「web仲間にこんな人がいるぜ」。

 この春あたりに、パセオ谷口編集長にこう一言伝えた覚えがあるのだが、いつの間にやら、その占いコーナーが実現しとったとゆーわけだ。
 私の企画はまず99%、編集部に通ることはないと断言できるが、こんな事もあるのだと、この無欲の勝利を何だか私はうれしかった。

 てなわけで、皆さま方が、読んでみてこりゃ面白いと思った場合は、読者ハガキで援護射撃を頼むぞ。
 人気が出ればスペース拡大の可能性があるしな。

 私的には、ヨランダのイラスト(ひとこまマンガ)とのコラボなんかが付くと、さらに面白くなるんではねーかと思ってるんだが、皆さま的にはどーよ。









7/18水(その239)

あさって発売!パセオ8月号





07⑧.jpg
パセオフラメンコ2007年8月号/表紙:大塚友美、撮影:北澤壮太




 舞台を観ていると、震えるほどの“予感”がすることがある。
 変わろうとしている者、求める表現に近づこうとしている者、
 “予感”を感じさせる4人のアーティストに迫る。





 お待たせしました、あさって発売!パセオフラメンコ8月号。
 今回は、特集『予感』の各扉ページを大サービス公開だあ!!!




07⑧屋良有子.jpg
文:塩川千尋/写真:大森有起




07⑧有田圭輔.jpg
文:中谷伸一/写真:大森有起




07⑧大沼由紀.jpg
文:西脇美絵子/写真:大森有起




07⑧大塚友美.jpg
文:菊地裕子/写真:大森有起









7/17火(その238)

フライング情報④引退だあ?





07⑧ポティート1.jpg
インタビューと文:ハビエル・プリモ/訳:東敬子






 …………。

 うっそだろ。

 ………………。

 だって、そりゃないだろ。

 …………………………。

 あんたの黄金時代はこれからじゃん。





07⑦ポティート2.jpg




 ハビエルの突っ込みから、少しずつ事情はわかってくるのだが………。









7/16月(その237)

フライング情報③わが良き師匠よ





07⑧本間1.jpg
文:野村昌二/写真:清水知恵子




 今週金曜日発売のパセオフラメンコ8月号。
 人気連載『夫婦のきずな』には、フラメンコ舞踊の本間三郎師(日本フラメンコ協会副会長)と同じく本間牧子さんがご夫妻で登場する。

 本間三郎。

 元祖スターバイラオールと云えば、このお方のことである。
 少年時代の私も何度かテレビで拝見している。
 フラメンコだけではなく、あっち方面でも数々の伝説を残された方で、やっかまれた牧子さんはあっちゃこっちゃでいじめられたようだ。
 ちなみに牧子さんはフラメンコギター出身のバイラオーラ(←カスタネットの名手)という特異な経歴の持ち主で、娘の静香ちゃんは現在スペインでバイラオーラ修行中だ。



 さて三郎師は、私の人生の師匠でもある。

 フラメンコ協会立ち上げのてんやわんやとそれに続くパセオの廃刊危機に、どん底めがけて一直線だったあの頃。
 「どうだい、一杯やるかい」と、あちこちで豪遊させていただいたあの回想シーンは、いまでも心の宝だ。
 いっつも自然体で裏表のないこの心やさしい大先輩と呑んでいると、各種ピンチにパンクしそうな私のノミの心臓は、なぜか無性に癒されたものだ。
 もとは女好きのツッパリだったこの初代スターには、他の大人にはない何か超越した、深く柔らかなアイレがあった。

 伝説(←笑えるほどに凄い)に聞く本間三郎は、私がお会い出来た頃にはすっかり人格者化されておられ、小心ゆえに前向きで、だがしかし破滅的に突っ走る若い私(←ほめられて育つタイプ)に対し、ひとつの説教もなしに、それとなく生きるコツのようなものを授けて下さったのである。
 その後もご一緒させていただく機会は途絶えることなく、いまもフラメンコの仲間たちが師匠のもとに集結する定例下ネタ呑み会(木曜会←高円寺エスペランサ)は、ざっと計算してみると十六年、おお、な、なんと通算200回近くも続いていることになるのだ。




07⑧本間2.jpg




 さて、本誌記事に目を戻すと、そこに載った写真が論より証拠という感じだ。
 出逢いから37年。その愛は不滅……。そんなアイレがビンビン伝わってくるのだ。
 そのアホらしいまでに美しい夫婦愛は、牧子さんのひと言でこう締めくくられることになる。

 「私は、本間三郎と一緒でいることが夢だったから、それだけで幸せ

 だって。
 どーよ、これ。
 えーですか、牧子さんよ。
 とりあえず、こらあああああ!!!!!

 ま、こう云われる方もこう云う方も、まったくもって大したもんでがす。









7/15日(その236)

フライング情報②ギタリスト沖仁の挑戦





 スペイン国内で最も権威のあるコンクールのひとつが『コルドバのコンクール』。
 今年4月、一人の日本人がこのコンクールに挑んだ。
 ギタリスト沖仁である。
 彼はコンクールに何を求め、そしてコンクールは彼に何をもたらしたのか?
 沖仁の挑戦の日々を追った。





07⑧沖仁.jpg
文:志風恭子/写真:高瀬友孝



 1956年に始まったコルドバのコンクール。
 スペインにあまたあるフラメンココンクールの中でも、最も歴史が長い。
 過去の受賞者にはパコ・デ・ルシア、マティルデ・コラル、フォスフォリートなど、当代きってのアルティスタたちの名が並ぶ、権威あるコンクールだ。
 このコンクールに今年、果敢にも挑戦したギタリストが沖仁である。
 昨年、日本でメジャーデビューを果たした彼が、忙しいスケジュールを調節してまで、スペインでコンクールに挑んだのだ。




 ――――――――――――――――――――――――




 会えば気さくでやさしい王子さまのような沖さん。
 その柔らかな外見や物腰からは想像もつかない、きりっとした内剛さと行動力に、日本のフラメンコ界はこの数年来びっくりさせられ続けている。
 そして今回もまた、チョーびっくりもののチェレンジは続く。

 さて記事中、実際にはなかなか云えないこの一言に私はシビれた。


 「コンクールに出る人はきっとみんな自分と同じようにプレッシャーと戦っているんだろうな、と自分の仲間のような気がしたんです。最初は敵だったのが、今は愛しい。向こうはどう思っているか知りませんが(笑)」



 フラメンコ界において、沖仁のように一見軟弱そうなのに、実はめっちゃ強え男は断然有利である。
 私のように一見生意気そうなのに、実はもろ弱っちい男は断然不利である。

 出来ることなら代わってあげたい。
 私は心からそう思った。









7/14土(その235)

フライング情報①濱田地蔵





07⑧濱田.jpg
地蔵に捧げるファンダンゴ/濱田塾長の画(↑)と文(↓)
 (月刊パセオフラメンコ2007年8月号より抜粋)




 さてさて、皆さん。
 カンテ・フラメンコという不思議な世界の、余りと言えば余りな奥行き、ふところの深さを前にして、今回の塾長はダジャレのダも出ず、さながらお地蔵様のようにカタい人と化してしまいました。
 ハマダジロウならぬハマダジゾウと改名したほうがいい位です。




 ――――――――――――――――――――――――




 (↑)ぷっ。どーよ、これ。

 冷静に観て、ほとんど神業と云っていいだろう。
 この一発ですっかり冷静さを失ったこの私が云うのだからほぼ間違いない。

 苦しむことなくフラメンコの数々の法則を学ぶことができる絶好調パセオ連載『痛快!?フラメンコ濱田塾!!第19講/ファンダンゴのこと⑥』から、ラストスパート部分の一節である。

 愛すべき尊敬すべきこの講座によって、ファンダンゴの何たるかをほぼ完璧につかみかけていた私の頭脳の中から、それらの全容がすっぽりこぼれ落ちてしまったことは云うまでもない。(TT)









6/19火(その221)

あした発売!パセオ7月号





07⑦表紙カラスコ.jpg
パセオフラメンコ2007年7月号/表紙はラファエラ・カラスコ(写真:高瀬友孝)]




 ――――――――――――――――――――――――




 特集 『フラメンコを着る』


 民衆の踊り、フラメンコ。
 日常の衣服で歌い踊られていたフラメンコが“衣裳”を獲得する過程、それはフラメンコの歴史そのものである。
 いつしか衣裳はフラメンコの魂をまとい、踊り手の想いを表す媒体となった。
 伝統にのっとり、流行を取り入れ進化し続ける“フラメンコ衣裳の今”をレポートする。





07⑦特集/衣裳.JPG




 本日発売のパセオフラメンコ7月号。
 カラー22ページの特集『フラメンコを着る』の記事ラインナップはこんな風になっている。

◆セビージャのフラメンコ・ファッションショー(今年2月)のレポート
 [文:天野理絵/写真:青柳裕久]
◆今年の傾向はコレ!
◆衣裳作りの現場を見る!(ルッチ・カブレラ工房)[文:水野暁]
◆フラメンコ衣裳変遷史[文:志風恭子]
◆国内人気衣裳店/新作衣裳・夢の共演




 おお、絢爛豪華、よりどりミドリとはこのことかい。
 ま、男性の私がつべこべ抜かすのもナンなので、こりゃいーかもと思った衣裳をラストにひとつだけ載っけておこうかい。




07⑦衣裳例.jpg
[ヴィッツキー・マルティン・ベロカルのバタ・デ・コーラ]











6/18月(その220)

バイレ上達のコツ





 あさって発売パセオ最新号のフライング情報その4は、堀越千秋画伯の人気ご長寿連載『渋好み純粋正統フラメンコ狂日記』。
 今回(第233便)のタイトルは、な、なんとそのものずばり『バイレ上達のコツ』だよ。




07⑦堀越千秋.JPG




 ちょー力作である。
 随所に顔を出す力技さえもが、実に粋である。

 脳軟化の進む私にはやや難解に感じられたが、うっ、こりゃ凄えかもという手応えが充分だったものだから、腰を落として三晩にわたりトータルで十回ほども繰り返し読んでみた。
 それでも理解度は七割程度かもしれんけど、やっぱこりゃ傑作だなと確信したのが今しがたのことである。

 意表を突いて、あろうことかアインシュタインの相対性原理を軸に語られる愛の哲学は、看板に偽りなく『バイレ上達』の核心を突いている。
 中でも、フラメンコの世界では日常的に語られる「私らしさ(=両刃の剣)」についての考察にはドキリとさせられることになる。
 画伯の結論とは対極にある私には、おそらく一生たどり着けない境地であろう。だがそれらは、自分の人生を丸ごと賭けても悔いの残らない方法論として、素直に納得できるものだったのである。



 安稿料でこんな凄え原稿が平気で載っかってしまうフラメンコの専門誌、てゆーかフラメンコってジャンルはほんとに凄えなと、まるで人ごとのようにそう思う。
 馬鹿のひとつ覚えでフラメンコの出版に浸かる私に、年に幾度かは訪れる至福の瞬間である。









6/16土(その219)

純粋なる自由





 ホアキン・コルテスを大スターに押し上げた、世界的な敏腕マネージャー、ピノ・サグリオコが、またもや、フラメンコのスターを世に送るべく活動を開始した。
 今回、彼の手にかかって料理される美しい“獲物”は、マドリード出身のバイラオール、ホセ・マジャだ。

 ホセ・マジャと言ってもピンとこない人は、昔は“ホセリージョ・ロメロ”の芸名だったと言えば、「ああ、あの子!」と思い当たるかもしれない。
 そう、知る人ぞ知る“あの子”だ。

 現在23歳。
 子どものころから評論家たちに「本物のバイレ」と絶賛され、一流アーティストとの共演で引っ張りだこの秘蔵っ子は、今まさに、目の前にある大きな扉を開こうとしている。



07⑦ホセ・マジャ.jpg
 [ハビエル・プリモ(文)/東敬子(訳)]



 ――――――――――――――――――――――――



 あさって発売パセオ最新号のフライング情報その3は、スペイン・フラメンコ界の先端を感じる、ハビエル・プリモ(文)と東敬子(邦訳)の名コンビによる巻頭カラーインタビュー。


 生まれながらのアーティスト。
 恐るべき芸歴。
 インタビューから伝わってくる硬派な人間性。
 しかも柔軟にしてクレバーである。
 純粋でありながら自由に生きる。
 平たく云えば、私の正反対である。(TT)


 いやはや、彼がそんなことになっていたとは、ちーとも知らなかった。
 こんなことをサラッと教えてくれるパセオフラメンコは、やはり必読バイブルである。
 こんどパセオの社長に会ったら、ポンと1億円ぐらい恵んでやっか、と思うのは私だけではあるまい。

 ………自画自賛のイカれ親父はさておき、さあ、その希望の新星ホセ・マジャである。
 詳細は各自お読みいただくとして、信頼できるハビエル・プリモの文脈からみると、どうやら一般的国際的なブレイクは時間の問題らしいのだ。
 彼ホセ・マジャと、ファルーコ家のファルー、バルージャによる“バイレ・ヒターノ・スーパートリオ”も、マドリー・アルカラ劇場における三週間におよぶ公演(←ほとんど即興バイレなんだって)で大センセーショナルを巻き起こしたらしい。

 う~む。
 こりゃちょいと面白いことになってきたかあ。
 さっそく有力プロモーター諸兄にお電話じゃあ!!!









6/15金(その218)

歌い人の肖像/高岸弘樹





 「抑揚のつけ方、長さ、シャウトの効果的な入れ方………そういう技術を考えずに歌えないと、フラメンコじゃない」

 地元では名の知れた、ロックバンドのヴォーカリストだった。
 心の師と仰ぐ、チャンゴとの邂逅。
 紆余屈折を得てたどり着いたカンテの深淵とは。





07⑦歌い人/高岸弘樹.JPG
 [文:中谷伸一/写真:浦川一憲]




 ――――――――――――――――――――――――




 6月20日(水)発売のパセオフラメンコ。
 そのフライング情報第二弾は「歌い人の肖像(その6)高岸弘樹」だ。

 例によって中谷伸一の鋭いツッコミのもと、歌い人の肖像は少しずつ明らかになってくる。
 どこか茫洋とした大きさのある好感度カンタオールというのが彼に対する私の第一印象なのだが、これを読み進めるうちに、なるほどこりゃ納得という部分と、さらにわからなくなった部分とに、その印象は二分されることになる。
 おかげで次回ライブでは、彼を聴く楽しみが倍増されることになるだろう。

 さて文中、私のハートを刺激するポイントが大きくは三箇所あったのだが、そのひとつは中谷(←スペイン語ペラペラ)も激しくおったまげた部分である。
 その衝撃は、インタビューのタイトル(無意識のカンテ)にもなっている。

 「ええーーっ?、でも納得ううう!!!」というその斬新な感触を、各自ご確認いただきたい。









6/14木(その217)

フライング情報/輝く光に導かれ





 若手の歌い手の中でも、透明感のある声で圧倒的な人気のエストレージャ・モレンテ。
 エンリケ・モレンテという、すばらしい星のもとに生まれ、幼いころからアルテに魅入られてきた。

 これまでの順調なキャリアを支えているのは、天才エンリケの薫陶を受けて確立した斬新なスタイルと、彼女の何よりの“しるし”である声。
 そして、彼女の胸の奥深くに、カンテの先人たちや故郷のグラナダ、アルバイシンやサクロモンテで受け継がれてきた、歌と詩があるからだ。




07⑦エストレージャ.jpg
 [インタビュー、文、写真/青柳裕久]




 ――――――――――――――――――――――――




 月も半ばのこの時期の定番は、20日発売パセオ最新号のちょい見せフライング情報だ。
 で、そのしょっぱなはスペイン在住、気鋭のライター青柳裕久が、インタビューと執筆と写真のすべてを担当するカラー4頁、渾身のエストレージャ記事である。

 光輝くようなエストレージャの軌跡、その近況・展望がすっきり見えてくる内容なのだが、読み進めるうちに、父親であるエンリケ・モレンテの薫陶の大きさ・深さに改めて敬意を表したくなってしまった。
 古き佳きカンテを唄う一方で、あまりにも革新的前衛的な冒険に踏み込むので、いわゆるプーロな人々からは、けちょんけちょんにやられちまうことも多い巨匠エンリケだが、そのチャレンジ精神の奥底には無責任な批判をものともしない逞しい知性の光がある。



 「もし間違えて転んだとしても、起き上がるだけ。なんでもないさ



 これは娘エストレージャが、父エンリケから授かった大切な言葉だという。

 いまは亡き私の父は腕の良いビンボー職人だったが、常に失敗に恵まれる末っ子の放蕩息子(あーそーだよ、オレのことだよ)に対し、同じニュアンスの言葉を何百回となくかけてくれたことを、ふと想い出した。
 愛に充ちた根気のよい父の性格は、あるいはこの私が育て上げたものなのかもしれない。









5/18金(その204)

あさって発売!パセオ最新号





07⑥.jpg
 [パセオフラメンコ2007年6月号/表紙写真:山澤伸]




特集『スペインに生きる』―――暮らしの中で見つけたもの


 マドリードの中心地、グランビア通り。
 国籍や職業を問わず、さまざまな人々が行き交う、
 まさに“人生の交差点”である。
 明るい日ざしに映えるのは、彼らの生き生きとした表情。
 スペインに生きて、はじめて見えるスペインがある。
 現地に暮らす、7人の日本人を追った。




07⑥スペインに生きる.JPG




 特集にご登場いただくスペインに暮らす七名の方々の、多彩なラインナップは以下のとおりだ。

◇福田敦子さん(舞踊家)「フラメンコを求めて」
◇石川亜哉子さん(舞踊家)「いつも自然体で」
◇松嶋公美さん(ラジオ・パーソナリティ)「宝物の入った引き出し」
◇阿部理彦さん(学生)「学び終わらないもの」
◇本山朝美さん(パティシエ)「自由に生きていける場所」
◇三木博雄さん(板前)「日の丸をしょって厨房に立つ」
◇宮入郁子さん(陶芸家)「輝く太陽の下で」



 久々のスペインものである。
 フラメンコが弱くなって売上は大丈夫か?、という危惧には「しんぱいゴム用」と胸を張りたい。
 七名の記事は予想以上に面白くてイッキに読んだが、特に心えぐられたフレーズを二つばかりご紹介しよう。



「そうですね。最愛の夫が私のことを幸せにしてくれるとは思わないんですよ(笑)。もちろんしてくれるんですが、自分が自分にエンコントラール(出会う)すること、それがないと人は幸せになれないと思います。お金じゃ買えないものをたくさんたくさん作って、そうして誰にも盗まれることのない宝を自分の引き出しに持ってる人が、本当に幸せなんじゃないかな、と。」
          (パーソナリティの松嶋公美さん)

「日本の調理場は軍隊みたいに厳しいものですが、こっちは仕事が終われば呼び捨てだし、お前は給料が高いんだから、教えてくれて当たり前だというような態度です。単なる生活のために仕事に来る人間をやる気にさせるのは難しいですね。彼らが日本語を覚えるのは無理だから、僕が努力してスペイン語で伝えてやらないと」
          (板前の三木博雄さん)









5/17木(その203)

歌い人の肖像/阿部真





07⑥阿部.JPG




 刈り込んだ短髪にがっしりした身体つき、静かな光をたたえる瞳。
 真面目で一本気な、古き佳き日本人が持っていたイメージが、阿部真には自然に重なって見える。

 「自分の一番の長所は、かなり頭が悪いというか、バカなところだと思うんです。絶対スペイン人になれないんだけど、それをわかったうえで、なろうと思えるんですよ。なんとなく。どこまでやっても違うって言われるかもしれないけど、行けるところまで行きたいと思います」

 大学在学中にフラメンコを始め、現在31歳になる阿部の活動の場は、ここ数年で飛躍的に広がっている。
 2004年に日本フラメンコ協会新人公演で努力賞を獲得。同年、日本の若手カンタオールが勢ぞろいしたアルバム『10COLORES』(アクースティカ)で、初録音を果たした。
 コンクールや公演を支える舞踊伴唱での出演も数多い。
 アンダルシアの匂いを放つ、自然で力強いカンテの評判は日増しに高まっている。
 02年秋から、阿部は毎年必ずスペインへ飛び、セビージャを中心に数ヶ月滞在する。現地の生きたカンテを吸収するためだ。
 「フラメンコオタク」を自称する彼の探求の精神は、果てしなく貪欲である。
 「まだまだ、足りないことが多すぎる。もっと磨いていかなければと思うんです」
              (2007年3月21日収録)



 ――――――――――――――――――――――――



 今日のパセオ6月号フライング情報は、中谷伸一(文)と浦川一憲(写真)による「歌い人の肖像⑤阿部真」からの冒頭ちょい見せだ。

 アクースティカによる、これぞ心意気!みたいなCD『10COLORES』によって、阿部真さんのカンテを私ははじめて知った。
 ハンパではないポテンシャルを感じさせる本格派カンタオールである。

 「真面目で一本気な、古き佳き日本人」と冒頭で中谷はそう表現したが、そんなイメージを裏付けるさまざまなエピソードには心が騒いだ。
 へえ、若い連中も捨てたもんじゃねーや。
 てゆーか捨てたもんなのはおめーのことだよと、じーさん思わず我に返った。









5/16水(その202)

森田志保の新たな地平





 フラメンコにはいくつかの“強烈な縛り”がある。
 その意味において、フラメンコ舞踊と創意、つまりフラメンコを作品化することは、基本的に矛盾した行為といえる。
 作品成立のために創意を凝らすほど、“フラメンコ”は遠のいてしまうという側面があるのだ。

 だが、作品の中でフラメンコがさらに豊かになることを、森田志保は最新作「はな5」で示した。
 長年、彼女の舞台を観てきたライター西脇美絵子が、森田志保のフラメンコと作品作りの核心に迫る。





07⑥森田志保.JPG
[文:西脇美絵子/写真:松本青樹、高田早苗]



 ――――――――――――――――――――――――



 上のちょい見せは、この三月の『はな5』公演でフラメンコ界の話題をさらった森田志保さんに関する記事のマクラだ。

 「森田志保の不思議かつ巨大な魅力」についての解明は私にとっても大きな課題だったが、前号の「新生ガデス舞踊団」に引き続き、またしても西脇美絵子はその超難解なテーマに対して見事な解答を提示した。
 ま、じっくりお読みいただきたいと願う。当号における私のイチ押し記事なので。


 さて、その西脇とは先日の協会アニフェリア公演のロビーで会った。
 そこでの彼女は珍しくも、これから先のモノ書きとしてのヴィジョンを私に熱く語った。
 それらは私が読んでみたいものばかりだったから、彼女に向かって、いつものように私は優しくささやくようにこう叫んだ。

 「とりあえずちゃんと締切守らんかいっ、こらあああ!!!」









5/15火(その201)

足は地につけ、夢は空高く





07⑥巻頭.JPG




 イタリア出身のバイラオーラ、シルビア・マリン。
 “外国人”だから突き当たった壁を乗り越え、“外国人”だからこそ持ち得た夢を追い求めている。
 彼女は、舞台上で子どもたちにフラメンコを教えるという、ユニークなショーを発表し、世界にフラメンコの種を蒔いているのだ。



 ――――――――――――――――――――――――



 パセオ6月号(5/20発売)のハビエル・プリモによる巻頭カラー記事に登場するのは、珍しくもイタリア人バイラオーラである。
 そのエネルギッシュな生き様、やがて訪れるどん底状態、そしてそこからの脱出と復活。
 同じく“外国人”である私たちには、身につまされるようなリアリティを持ったドキュメントだ。
 “ネバーギブアップ”という戦略は、つくづく“発明の母”だと思う。
 「人間あきらめが肝心」という言葉に惹かれはじめる私には、いい薬かもしれない。









5/14月(その200)

マジョール男組/ゆるい本気





 こんどの日曜発売のパセオ6月号。
 アニフェリアでも大活躍だったあの“マジョール男組”の記事に目を引かれる。
 冒頭をちょい見せするが、結成の真相やあの不思議な魅力の理由が、これを読んで少しだけわかったよ。




07⑥マジョール.JPG
[文:編集部塩川/写真:清水知恵子]




   バイラオーラ鈴木眞澄が主宰する、フラメンコスタジオ・マジョール。
 このスタジオに在籍する男性たちは“マジョール男組”と呼ばれ、独自の活動を繰り広げている。

 「実は結成したわけじゃないんです」

 “マジョール男組”結成のきっかけを尋ねて返ってきたのは、意外な答えだ。まとめ役の佐藤樹美さんは続ける。

 「去年の新人公演の申込書を出しに行ったとき、団体名がないとダメって言われたんです。で、(田代)淳さん(日本フラメンコ協会事務局長)が、『スタジオ・マジョールの男の子だから“マジョール男組”』ね!」って。
 だから、名づけ親は淳さんなんです」









4/20金(その188)

本日発売!パセオ最新号





07⑤.jpg
 [パセオフラメンコ2007年5月号



 フラメンコは声と手拍子で始まった。
 時代を経て人々は楽器を手に入れ、より豊かに進化させてきた。
 そして現代、フラメンコはさらに多くの楽器を取り込み、発展を続けている。
 それは、フラメンコが他ジャンルの音楽を貪欲に吸収しているからとも言えるだろう。
 “フラメンコの楽器”は無限の可能性を秘めているのだ。





07⑤特集.jpg
 [写真:高瀬友孝]




 いよいよ本日発売のパセオフラメンコ5月号。
 その特集は『フラメンコを奏でるものたち』。
 全編を通し、こいつは相当に面白い。
 その上、フラメンコの楽器についてのあなたの認識が、大きく広がりつつグッと深化することだけは約束できそうだ。
 周辺楽器の実相を知ることでフラメンコの本質がよりいっそう視えてくる、という仕組みなのである。

 で、主な記事のラインナップは以下のとおり。


 ――――――――――――――――――――――――

フラメンコと楽器の幸福な出会い」◆濱田滋郎
パコ・デ・ルシア以前、以後」◆加部洋(ギター)
フラメンコが求めるギターとは?」◆青柳裕久(ギター)
共演者のためのカホン」◆ホセ三浦(カホン)
人々を虜にするリズムと音色」◆高場将美(サパテアード)
踊り手の技術や心を素直に映す」◆小林伴子(カスタネット)
フラメンコにまつわる楽器たち」◆志風恭子

 ――――――――――――――――――――――――


 で今日は、「既成の概念を超えて」という志風恭子(スペイン在住、末はフラメンコ博士)の文章の中から、ビビッとしびれたティノ・ディ・ジェラルドのコメントを以下にちょい見せしよう。
 ティノは、パコ・デ・ルシアやビセンテ・アミーゴなどが絶大な信頼を寄せる、私も大好きなパーカッション奏者なのである。


「パーカッションは、サッカーでいえばゴールキーパーみたいなものなんだ。
 絶対必要なもので、安心感を与える。
 キーパーがしっかりゴールを守っていれば、ほかのメンバーは前に行って好きなようにプレイすることができる。」

「どんな楽器でもフラメンコに合うよ。
 問題は楽器ではなく、楽器奏者なんだ。
 フラメンコは楽器ではなくミュージシャンにあるんだ。
 楽器は生き物ではない。
 いいパーカッション奏者なら、灰皿でもごみ箱でも音楽に、フラメンコにしてしまう。
 もちろん伝統的に使われてきた楽器があり、また一方で最近になって新しく使われるようになった楽器がある。
 フラメンコに合う、合わないというのも、その楽器の持つ音、性格によるのではなく、使い方によるんだ。」









4/19木(その187)

フライング情報/歌い人の肖像~堀越千秋





07⑤堀越千秋.jpg



 明日発売、パセオフラメンコ5月号からフライング情報。
 中谷伸一(文)と浦川一憲(写真)のコンビでおくる人気連載「歌い人の肖像」。
 その第四回目は、あの堀越千秋画伯が堂々の登場。その冒頭ちょい見せである。



 ――――――――――――――――――――――――



 改札口を駆けてきた画家・堀越千秋氏は、「やあ、どうも。ひさしぶり」と抜けるような笑顔で、悠然と手を差し出した。
 握手で始まる挨拶も、計算通りとも思わせるジャスト30分の遅刻も、まさにスペイン流、いや、変わらぬ泰然自若の堀越流だ。

 カンテ・ヒターノの名門アグヘータ一族と親交が深く、本誌の人気連載『フラメンコ狂日記』でも綴られているように、スペイン在住30年の氏は、生活に根ざしたカンテを肌で知る、数少ない日本人である。
 しかも自らカンテを歌い、スペインのテレビやラジオをはじめ、数多くのフェスティバルに出演。“歌う日本人(JAPONES QUE CANTA)”と呼ばれ、注目を浴びてきた。

 長年、ヒターノの友人たちとの丁々発止で鍛えたバイリンガルの氏には、大方の日本人に壁となるスペイン語は、もはや問題ではない。
 その先に広がるカンテの世界とは、一体どんな風景なのだろうか。
              (2007年3月7日収録)



 ――――――――――――――――――――――――



 ラスト部分で中谷は、「何か好きな言葉は?」とたずねる。

 画伯の回答は私が予想だにしなかったもので、思わずう~んと唸りながら長いこと私は考え込んでしまった。









4/18水(その186)

偉大なるカリスマ





07⑤ガデス1.JPG



 「アントニオ・ガデス舞踊団」という名前には、フラメンコという言葉は挿入されていない。

 それだけでなくガデスは、自分が作った作品を決して「フラメンコ作品」とは言わず、「バレエ」と呼んだ。
 私は何度かガデスを取材したが、自身の創作が“フラメンコ”というジャンルに限定されることを慎重に避けていたという印象がある。
 実際、ガデスの振付、踊りのスタイルにはバレエの要素が組み込まれているし、『カルメン』には、ビゼーの音楽も一部使われている。
 『アンダルシアの嵐』では、スペイン各地の民族舞踊のパソを取り入れたりもしている。
 だから、『バレエ』と呼ぶことに異論があるわけではない。

 だが、取材中彼が語った、「フラメンコではない」というこだわりは、当時『パセオフラメンコ』の編集者として取材に当たっていた私には、―――ガデスがより芸術性の高い舞踊表現を目指してフラメンコを高めようとしているのだと認識してなお―――見逃せないものだった。

 そして今回久しぶりに、ガデスの作品を観て改めて実感したことは、2つの作品が、抜けがたく“フラメンコ”だということだ。(後略)



07⑤ガデ2.JPG



 ――――――――――――――――――――――――


 あさって発売、パセオ5月号のガデス記事『偉大なるカリスマ、ガデスが残したもの』からの冒頭抜粋だ。

 モノクロ全4ページ、その入魂レポートの書き手はおなじみ西脇美絵子。
 パセオ編集長として長い間アントニオ・ガデスその人と向き合ってきた人間である。
 5月号を手にした私は、まっ先にこの記事からかぶりついた。

 西脇美絵子は新生ガデス舞踊団をどう観たのか?
 公演二日目(血の婚礼)の会場客席でばったり顔を合わせて以来(二人ともドキドキしながら開演を待っていた)、ずっとそれが気になっていたからだ。

 で、それはいかにも西脇らしい、骨太で真摯な姿勢に貫かれた一文だった。
 いつものように彼女は、妥協することなく真実めがけて鋭く踏み込んだ。
 冷静かつ鮮やかな分析である。
 そしてその背後には、これもまたいつものように、巨大にしてあたたかな愛があった。










4/17火(その185)

フライング情報/未來&ソニンの『血の婚礼』





 新生アントニオ・ガデス舞踊団の『血の婚礼』に、われらオールドファンが涙したのは今年2、3月のことだった。
 そして、この5月3日には、森山未來とソニンによる演劇×フラメンコ版『血の婚礼』のロングラン上演(東京グローブ座)がスタートする。さあ、今度は若者たちに涙してもらおーか。

 今週金曜日発売のパセオ5月号では、渾身のカラー全7ページでこの『血の婚礼』の舞台裏に迫っている。



07⑤血の婚礼.jpg
 [編集部・塩川千尋(文)/大森有起(写真)]



 トーダイ出のミーハー、編集部塩川がやる気でまとめ上げた第二特集「血の婚礼/ロルカの普遍」は気合いの入りまくりで、こんなインタビュー構成になっている。

一幕一場◆主演・森山未來/修羅場
一幕二場◆台本演出・白井晃/生の模索
一幕三場◆音楽・渡辺香津美/透明になる瞬間
一幕四場◆振付・斎藤克己/ロルカの言葉
二幕一場◆稽古場/物語る身体


 ――――――――――――――――――――――――


 世界の中心で愛を叫んだ、主役(ガデスやアドリアンがやったレオナルド役)の森山未來さんは意外なことに、な、なんとバイレ経験者でもあったのだ。では、その部分だけちょい見せしようかい。



 フラメンコは作品を構成する大きな要素のひとつだ。

「芝居はもちろん軸なんですけど、淡々と過ぎていく。
 でも、その言葉の下では(感情が)鬱屈していたり、ゆがんでいたりする。レオナルドの感情表現の核はフラメンコだと思います」

 マイケル・ジャクソンの「スリラー」がきっかけで、5歳からジャズダンスを始めた森山。クラシックバレエ、タップ、ヒップホップとさまざまなダンスを経験し、高校2年生から卒業まで、フラメンコのレッスンにも通ったという。

「東仲(一矩)先生とうちの両親がご近所さんだったんです。
 最初は見学に行って、それからレッスンを受けるようになった。
 東仲先生は、基本的にひとりで踊らせるんです。
 揃えさせない。
 生ギターとカンテと対峙して、自分の内面から踊る。
 すごく刺激を受けました」

 多くの舞踊に接している森山だが、「踊りはすべて同じ」と言い切る。

「いくらでも内省しようと思えばできるし、逆に発散しようと思えばいくらでもできる。
 タップやヒップホップのルーツは虐げられてきた黒人たちの“発散”かもしれない。
 でも、自分なりにつかんでものにすれば“内省”することができる。
 もちろん、バレエとタップは、元々ある形は違いますよ。
 でも、踊る人が同じなら同じなんだと思います。
 最終的には、自分の意識のなかにしか踊りは存在しないんです」









4/16月(その184)

フライング情報/強い意志





 今月20日発売のパセオフラメンコ5月号。
 例によって今日から数回、フライングちょい見せ情報をどーぞ!




07⑤ロシオ.jpg
 [インタビューと写真:ハビエル・プリモ/訳:東敬子]



 22歳の若さで自身の舞踊団を率いて、次々と作品を発表している、ロシオ・モリーナ。
 彼女は間違いなく才能あるアーティストだ。
 しかし、これまでの華々しい活躍を可能にしているのは、才能ではない。
 彼女のフラメンコに対する“強い意志”なのである。




 ――――――――――――――――――――――――



 スペイン・フラメンコ界の現在を鋭くからめ取る、ハビエル・プリモによる巻頭インタビュー。
 毎回毎回、快刀乱麻の切れ味で私たちをアッと云わせる彼の読み物は、もはやパセオの表看板として定着したようだ。
 今回彼が採り上げるのは、チョー早熟のバイラオーラ、ロシオ・モリーナだが、彼女の経歴とそのコメントはかなりのド迫力で、少なからず私をびっくりさせた。
 そこらへんは実際のパセオで読んでいただくとして、彼女がもっとも大きな影響を受けたというマリア・パヘスのくだりの部分(↓)をどーぞ。



「舞踊団の居心地はとてもよかったです。
 それまで私はずっと一人でやってきました。
 8歳のときには、すでに1時間半の舞台を踊っていたんです。
 それで、他の踊り手と一緒に踊るというのはどんなものか学びたいと思っていたころ、彼女の舞踊団に入団するチャンスがあったんです。
 ただ群舞で踊るだけじゃなく、彼らと協力しあうこと、そして舞踊団の内幕を全部見ることができました。

 マリアは頭がよく、何事にもめげません。
 個人主宰の舞踊団経営の難しさ、監督としての立場をどう保持するか、周りの人間をどう動かすか、いろいろ勉強させてもらいました。
 マリアはすべての観客が楽しめるような作品作りをします。
 自分のやりたいことだけじゃなく、観客にも伝わるものを提供するんです。これは大事なことです」









3/20火(その169)

本日発売!パセオ4月号





 本日発売パセオフラメンコ4月号の特集は『曲種の達人』。



07④.jpg
 [パセオフラメンコ2007年4月号]




 さまざまな歴史的背景を持つフラメンコのパロ(曲種)。
 その数は40を超えるという。
 喜び、哀しみ、愛、痛み……。
 人々は、自らの感情を表現するために、パロを生み出し、長い時間をかけて進化させてきた。
 それぞれのコンパスや詩形が整えられ、現在の形式になったのは、すべて必然。
 それは、想いを伝えたい、ただその気持ちが育んだもの。
 パロを知ることは、フラメンコの担い手たちの想いを知ること、そしてフラメンコを知ることなのだ。


 ――――――――――――――――――――――――


 こんなリードで始まる曲種特集。
 その巻頭エッセイは、おなじみ高場将美さんによる『フラメンコの血を再認識するために』。
 以下にそのほんの一部を抜粋するが、高場さんが熱く語る本質論に私は思わず、はたと膝を打った(←死語か)。


 ――――――――――――――――――――――――


 そういうことはわかっているつもりだけれど、わたしはいまのフラメンコ伝統の姿に、なんだか疑問をいだき、共感できないところがある(わたしはフラメンコはひとつだと思うので、スペインも日本も区別しない)。
 いま革命が起こっているのに、わたしが気がつかないのだろうか? それともフラメンコという伝統が消えてゆこうとしているのか?

 なぜ、そんなことを考えるかというと、パロ(曲種=形式とかスタイルとも呼ばれる)の区別が、なんだかあいまいになってきたからだ。
 もともと曲種とか形式といっても、最初は無から(でもないけど)つくりだされた、あるいは自然にできたもので、そこに縛られてはいけないと思う。

 でも、ことばにならない、感覚の規律みたいなものがあって、ある曲種で表現できるものには限界がある。
 その規律とか限度が、伝統的といわれる芸術の良さだ。それがないと、ジャンルが成立する理由がなくなる。
 規律とか限度には、人それぞれの感じかた、自分の尺度があるので、そのへんもむずかしい。古いものへの尊敬と自己主張のバランス……難問です。

 とにかく、曲種を大事にしてほしい。
 コンパスというかリズム・パターンは守られていても、内面がともなっていないと、なんにもならない。


 ――――――――――――――――――――――――









3/16金(その167)

フライング情報/新連載!夫婦のきずな





 20日発売パセオフラメンコ最新号のフライング情報。
 今日は4月号からスタートする新連載『夫婦のきずな』をちょい見せしよう。
 ともにフラメンコの世界で生きる夫婦にインタビューし、その光と影を切り取ろうという、ある種きわどい企画である。


20jpeg.jpg
 [文:野村昌二/写真:清水知恵子



 踊り手と照明家。
 夫婦でフラメンコを追いかける、手下倭里亜さんと佐々木孝尚さん。
 妻が主導権を持ち、夫が逸れそうになりがちな方向性を正す。
 共通の目標を目指す二人に、これまで積み上げてきたもの、これからの夢を聞いた。


 ――――――――――――――――――――――――


 と、まあ、こんな出だしで始まる『夫婦のきずな』の連載第一回。
 おなじみのバイラオーラ手下倭里亜さんと、関係者なら誰でも知ってる照明家の佐々木孝尚さんの夫婦バトル(?)である。
 へー、そーだったの、みたいな会話はなかなかに新鮮だ。
 おざなり対談では面白くもなんともないし、どこまで踏み込めるかが編集側の腕の見せどころでもある。


 「道を逸れそうになると、修正してもらっています。私はスタジオを持って先生として生徒たちに教えているけれど、『教えるだけの生活に甘んじているんじゃないの』『君は踊り手でしょう』ってよく言われます。そう指摘されると、ハッと、甘えに気がつかされるんです」



 おっと手下さん、そーきたか。
 そのコンビネーションには、相当年季が入ってると思うなあ。









3/15木(その166)

追悼 大木ユリ





④大木ユリ.jpg
 [文:菊地裕子



 昨年12月30日、カンタオーラの大木ユリさんが他界した。
 1990年に踊り手としてデビュー後、まだ日本にカンテが浸透していない時代からプロとして唄い始めたユリさん。
 気風がよく、人を楽しませるのが何より好きだった彼女のことを、周囲の人々は「生き方まで含めてフラメンカ」と評した。
 そのフラメンコ人生を通して、彼女が人々に遺したものとは……。


 「唄は喜び」と、あなたは言った。―――

 ユリさん、天国でも唄っていますか。




 ――――――――――――――――――――――――


 パセオフラメンコ4月号「追悼 大木ユリ」より冒頭部分を抜粋。

 告別に駆けつけた実にたくさんのアーティスト、関係者の顔ぶれが、ユリさんのフラメンコ人生とその人柄を、まんま物語っていたように思う。
 あれからふた月以上もたつのか。
 会場に向かうためにタクシー待ちした夜の所沢の、底冷えするような寒さがよみがえる。









3/14水(その165)

フライング情報/道場破り





30jpeg.jpg



 来週火曜日発売のパセオフラメンコ4月号のフライング情報。

 ハイレベルなレッスンに“鼻高バイラオーラ”が挑む『道場破り いざ、勝負!』。
 その第16回は、日本語ぺらぺらのベニート・ガルシア先生の登場だ。

 「楽しかったあ」と、カルメン高之丞が興奮気味で語ったレッスンとは?
 そのエピソードのひとつをちょい見せ。


 ――――――――――――――――――――――――


 おもしろいのは、移動する時のニュアンスの説明。
 生徒たちはみな“決まった場所”に向かって進み、止まる。
 先生は、

 「行く場所を決めないで!
 行きたいところまで行って、ギリギリで止まって次の動作をするんだ


 と言う。
 そういうイメージを持つことで、スピード感が出てメリハリがつくのだ。


 ――――――――――――――――――――――――


 ううむ、なるほど。
 これもひとつのフラメンコの極意だよな。









3/13火(その164)

フライング情報/歌い人の肖像~瀧本正信





10jpeg.jpg
 [文:中谷伸一/写真:浦川一憲



 「カンテは演技やねん

  「歌うんじゃのうて、“唄う”。
  弾くんじゃのうて、“奏でる”。
  踊るんじゃのうて、“舞う”。
  フラメンコはすべて後者や。


 1970年代、日本のカンテ創成期にキャリアをスタートさせ、昨年にはスペインで初のカンテライブを敢行。いまだ最前線をひた走るベテランの言葉には、筋金入りの芸人魂が宿っていた。


 ――――――――――――――――――――――――


 今月20日発売のパセオフラメンコ4月号。

 私のイチ押し連載『歌い人の肖像』には、いよいよあの瀧本正信さんが登場する。
 深みと凄みに充ちたカンテの名盤『エル・カルテーロ』のクオリティが、日本のフラメンコ界を仰天させたことは記憶に新しい。
 CDを聴いたその刹那、彼がたたき上げてきた道の、その例えようのない重さと明るさに、私自身は羞恥のあまり身が縮んでしまったことを冷や汗とともに想い出す。




瀧本正信.jpg
 「瀧本正信/エル・カルテーロ









2/19月(その150)

La Musica Flamenca/国境なき挑戦





 お待たせでした!! 明日発売パセオフラメンコ3月号。



07年③.jpg
 [パセオフラメンコ/2007年3月号]表紙は有田圭輔



 特集「La Musica Flamenca/国境なき挑戦」は読み応え充分!
 フラメンコの音楽面についてはちんぷんかんぷんという方も、これを30分かけてじっくり読み込めば、ちょっとしたフラメンコ通みたいな知識を吸収できるというスグレものの保存版特集だ。

 全18頁カラー特集の構成は次の通り(カッコ内は執筆者名)。


①フュージョン、それはフラメンコのサラダ(ハビエル・プリモ)
②ロック・ヒターノの毒と蜜(ラファエル・アマドールのインタビュー)
③爆発間近のロッカメンコ・サウンド(中谷伸一)
④二人だからできることがある/タカ・イ・ジン(平瀬菜穂子)
⑤“スパニッシュ・コネクション”という音楽(編集部/塩川)
⑥とりあえず、これ聴いとこ!(志風恭子)


 新しいフラメンコ音楽を俯瞰する①ハビエル・プリモの明快な視点と、中谷伸一が踏み込む③ROCKAMENCOの活動現状あたりを、特にワクワク感をもって読んだ。
 ここしばらくは当特集を受け売りすることによって、私のフラメンコ音楽に関する無教養性が暴かれる危険性は最小限にとどめられるはずである。kekeke。

 ということで、「やはりパセオは頼りになるっ!」と胸を張って云いながらも、世界中で一番それに助けられてるのは実はこの私であるという事実だけは、くれぐれもご内密にお願いしたい。(TT)









2/17土(その149)

歌い人の肖像/大渕博光





 来週火曜日発売、パセオ3月号の目玉記事をご紹介!



 ――――――――――――――――――――――――



大渕.jpg
 [文:中谷伸一/写真:浦川一憲



 「フラメンコからはみだした人間だけど、いいの?」。

 取材を申し込んだとき、大渕博光はこう言った。
 はみだしているのかもしれない。
 しかし、フラメンコが内にあるからこそ、彼は“自分の歌”を歌うのだ。
 生来の歌い人である大渕が、歌うために続けてきた鍛錬。
 そして、フラメンコを歌ってきたからこそ生まれた、彼の表現に迫る。



 ――――――――――――――――――――――――



 早くも人気沸騰。凄腕ライター中谷伸一による「歌い人の肖像」その第二回は、な、なんとあの大渕博光の登場である。

 2005年にメジャーCDデビューを果たした彼の『エステ・アモール』は、テレビ東京の「美の巨人たち」のエンディングテーマとして人気を博した曲だからご存知の方も多いだろう。
 記事は全4ペ-ジだが、その内容の濃さたるやっ!
 3月号を手にした私は、迷わずここから読んだ。
 何てエキサイティングなっ!!!


 さて、おととしのCDデビュー以来、実は私もブッチーにすっかりハマり込み、今でも三日に一度はパセオに大渕博光の歌声がこだましている状態だ。
 昨年渋谷パルコのライブも追っかけて別ブログに書いた。
 彼の『mira me/僕を見つめて』は、誰が何と云おうと、ありゃ絶対名曲だよな。
 記事を読んでなんかピンときちゃった方は、迷わずパセオ通販でゲットっ!!!



大渕博光アルバム.jpg
 『大渕博光/エステ・アモール
  (キングレコード/2005年)









2/16金(その148)

フライング情報「いよいよブレイク!」





 フラメンコギターの名手、われらが沖仁がテレビ・ライブ等でいよいよブレイクし始めたことは、みなさまご存知の通り。
 我が息子パセオフラメンコもドラマ「ハケンの品格」に特別出演して一躍脚光を浴びたのちすぐに忘れられてしまったが、沖仁のブレイクは正真正銘の本物である。

 スター街道を歩み始めた、その沖仁によるフラメンコ講座を連載している専門誌は、宇宙広しと云えども唯一パセオフラメンコだけであるという衝撃の事実をみなさんはご存知でしたか。
 こうなるであろうことをいち早く予測して、沖仁の連載を決めたのがこの私であると云ったら、みなさんはそれを信じるでしょうか?
 信じた方はチョー大吉の運勢ですが、だまされやすいタイプです。そんな事実はまったくないからです。
 だいたいが社長の云い分が通るほどパセオという会社は甘くはないのです。



沖.jpg



 さて、「踊り手も歌い手も必読!!」と謳われるその沖仁の人気連載。
 パセオフラメンコ3月号では、「踊り手と弾き手、どうしたらわかり合えるの?②」を取り上げます。


 ――――――――――――――――――――――――

 今月からは、実際のヌメロのなかで、「バイレ、カンテ、ギターの3者がスムーズにコミュニケーションを取るには、どうすればよいか」を考えてみましょう。
 まずは4拍子系の代表曲……ティエント、ガロティン、タラントの場合を見ていきましょう!


 ――――――――――――――――――――――――


 どーですか、これ。わかりやすくてマジで為になると評判の講座なんですね。おまけに、パセオのホームページにその連載の音源(↓)まで付いてるという念の入りようなんであります。

   JINOKISM



 はっきり云って、絶対上達します。難しそうにみえるフラメンコのいろんな仕組みが自然と理解できる内容だからです。まだしっかりチャレンジしたことのない方は、どうかマジでお試しをっ!!!









2/15木(その147)

フライング情報「カディスの真珠」





 意外とパセオの部数伸ばしに貢献していることが判明したこのフライング情報。
 私の社内的立場(←窓際さん)が向上するまでには至ってはいないが、この調子で部数が増え続けてくれれば、全体的に私を見下そうとする社内の空気も少しは和らぐのではなかろうかと思う。

 そういうわけで皆さん、借り読みではいけません。パセオは買って読みましょう。自分専用のパセオであれば、読み終えたあとに鍋敷きとして活用できるという特典を忘れてはならないでしょう。
 ということで、パセオフラメンコ3月号(2/20発売)のフライング情報を、今日から4回連続でちょい見せしたい。



 で、最初に紹介したいのは、巻頭カラー・インタビュー。
 人気急上昇中の“カディスの真珠”アナ・サラサールである。
 毎度鋭く突っ込むインタビュアーは、これまた人気急上昇中のハビエル・プリモ(東敬子訳)で、以下はその冒頭。



 ――――――――――――――――――――――――



 踊り手であり歌い手でもある、異色のキャリアを持つアナ・サラサール。
 現在はなんと役者に挑戦中だという。
 ジャンルにこだわることなく、自分を表現することに挑戦を続けるアナ。 いったい何が彼女を表現へと駆り立てるのだろう?




アナ.jpg



 アナ・サラサールは、貝の中でひっそり眠る真珠のように、美しく、シャイで、そして飾り気がない。
 カディスの海岸の潮の匂いを全身に漂わせながら、16歳でプロのバイラオーラとして活動を開始。
 現在26歳。短いがその凝縮した10年の間に、彼女は数少ない、歌って踊れるマルチ・フラメンコ・アーティストに成長した。
 ルンベーラのように歌に踊りを添える、というのでは決してない。

 アナは踊り手、そして歌い手として、それぞれの道を、確固とした足取りで歩いているのだ。

 アナのバイレは切れが鋭く力強い。
 アナの歌声は甘く切ない。
 そしてそのどちらにも、輝くようなきらめきがある。









1/19金(その131)

日本人だからこそ





07②アドリアン.jpg
[パセオフラメンコ2007年2月号/表紙はガデス舞踊団のアドリアン・ガリア]



 明日発売!パセオフラメンコ2月号。
 今日は、その特集『フラメンコに魅せられて』から、先駆者座談会(カラー6頁)をちょい見せする。
 タイトルは「El Amor Al Arte~日本人だからこそ」。



07②三巨匠.jpg
[左から、小松原庸子、小島章司、岡田昌巳の各氏]
[構成:濱田滋郎/文:谷口哲哉/写真:清水知恵子]



 高度成長期に突入した、激動の1960年代。スペインへの渡航はもとより、フラメンコを習うことさえも困難な時代だった。
 そんな当時、フラメンコに惹かれ、フラメンコを求めてスペインに旅立った3人の若きアーティスト、岡田昌巳、小島章司、小松原庸子がいた。以来、今日まで積極的に舞台活動を行い、日本フラメンコを常にリードしている存在である。
 司会に濱田滋郎氏を迎え、3氏による「日本フラメンコの歴史を振り返る」座談会を開催。個性派の3人だけに、話題はあちこちに脱線したが、フラメンコについて大いに語ってもらった。


 ――――――――――――――――――――――――



 三巨匠ともに、とても楽しげに想い出を語っているのが印象的だ。

 意外なことに、そんな昔話に興じる彼らに私はとても感動した。そうした凄絶な苦難を楽しそうに語る彼らが、今なお第一線で活躍中であることに強烈に感動したのだ。

 もしも20代、30代の私がこれを読んだらある種の反発を感じたに違いない。
 ふん、俺にだって出来るさ、と。
 (↑うわっ、なんてやなやろー)

 だが、40代であまりのしんどさに数年間現場を離れた私にとって、はるかに大きな舞台でただの一度もめげることなく現在進行形で夢を追い続ける彼らは、やはり雲の上の人であったのだ。









1/18木(その130)

フライング情報「誇りを持って」





07②ミラグロ.jpg
 [ミラグロス・メンヒバル インタビュー/
  志風恭子(文)&高瀬友孝(写真)]



 『日本人であることに誇りを持ってフラメンコに向き合ってほしい』


 フラメンコはヒターノのものという考えを捨ててほしい。
 プーロはヒターノであるのではなく、フラメンコはアンダルシアのもの。ヒターノの真似をするのはやめたほうがいいと思うの。
 ヒターノに生まれたのならヒターノであることを誇りに思う。でも私はヒターナでなくとも、私自身に誇りを持っている。
 だから日本人も日本人であることに誇りを持って、フラメンコに取り組んでほしい。自分の生まれた土地を否定するのはナンセンス。
 日本人であること、フラメンコが好きだということに誇りを持って、ね。


 ――――――――――――――――――――――――


 2月号(今月20日発売)特集『フラメンコに魅せられて』から、ベテラン舞踊家ミラグロス・メンヒバルのインタビューのほんの一部を上に抜粋。

 日本人に対する社交辞令ではない。
 誌面に社交辞令が飛び交うことはままあるが、これは彼女の信念だな、私はそう思った。









1/17水(その129)

フライング情報「忘れえぬ鍵三さんの笑顔」





07②高田.jpg
 [追悼 ギタリスト高田鍵三/文:濱田滋郎]



 高田氏のことを、じつは私は、年下の身でありながら気易く「鍵三さん」とお呼びしていた。私には、ほかに余りそういう人はおらず、先輩、同年輩であれば、まず苗字で呼ぶ。
 高田氏の場合のみ例外であったのは、つまりは言い知れぬ親しみを、もちろん私のみにではなく、周囲の者に与える何かを、高田氏が表情に、そして身の内に持っておられたからにほかならない。顔を合わせるたび、鍵三さんは必ず微笑まれた、という気がする。
 もとより一芸に生きるアルティスタの潔癖さ、一徹さを感じさせる人柄の持主でもあり、「俺ぁ、いやだよ」と言えばもうてこでも動かない人だ、とも聞いた。が、頑固さの傍らにはつねに謙虚さと優しさがあった。
 純粋で、衒いのない人柄は、それだけでもう一個の芸術品ではなかったろうか。


 ――――――――――――――――――――――――


 フラメンコギターの巨匠、高田鍵三師(1931~2006年)の追悼記事。パセオ2月号に見開きで掲載させていただいた。
 書き手はおなじみ濱田滋郎塾長で、そのほんの一部を上に抜粋した。

 三好保彦(2004年逝去)、伊藤日出夫の両先生とともにフラメンコギターの三大巨匠と称された名ギタリストである。
 高田師と親しくお話しさせていただいた機会が、私にも二度だけある。
 濱田塾長のあたたかな文章からイメージされるお人柄と、私が巨匠に抱いた印象がほとんど一致していたことが、私にはありがたかった。

 昔の映画スターみたいに豪快でダンディなギタリストだった。
 ざっくばらんで優しい、誰からも愛される人間だった。
 おれももっとしっかりせんかい、と素直に思った。









1/16火(その128)

フライング情報「アルヘンティーナ」




 ――――――――――――――――――――――――


 「ファンダンゴのメロディからソレアの痛みの旅」

 カンテは“”学校で学べるのか?

 その答えを明確に提示したのが、若きカンタオーラ、アルヘンティーナだ。
 2006年に『アルヘンティーナ』でデビュー。
 その抜群の歌唱力と表現力は“大型新人の登場”として絶賛された。
 22歳の新星を紹介する。



07②アルヘンティーナ.jpg



 ウエルバ出身のアルヘンティーナ・マリア・ロペスは「だって、カンテ・フラメンコを学びたかったから」と、現代っ子としてごく自然に、セヴィージャのクリスティーナ・エーレン財団に入学する。
 そしてクルソ終了後、1年足らずでデビューを果たす。
 そのCDからは、「学校で学んだ」フラメンコ没個性のイメージをくつがえす、きらきらと輝く彼女独特の伸びのある声が聞こえてくる。
 弱冠22歳。飾り気のない等身大のカンタオーラ、アルヘンティーナ。
 彼女はこれからカンテを学んでみたいあなたに、すばらしいインスピレーションを与えてくれるに違いない。


 ――――――――――――――――――――――――



 パセオ2月号の巻頭カラー記事は、スペインで人気急上昇中の若き美貌のカンタオーラ、アルヘンティーナのインタビュー。
 ハビエル・プリモと東敬子のゴールデンコンビによる鋭い突っ込みから引き出される絶妙なサジェスチョンは必見必読だあ!!!









1/15月(その127)

フライング情報「アートの泉」





 もう20年も続く、ご存知パセオフラメンコの人気連載、堀越千秋画伯の『渋好み純粋正統フラメンコ狂日記』。



07②堀越.jpg



 今月20日発売2月号のお題は「アートの泉」。
 豪華メンバー多数出演ということで異常に盛り上がった、去年秋のプレステージ4周年ライブ(吉祥寺・前進座)への温かくも鋭いレビューは読み得まちがいなしだ。画伯の突っ込みは相も変わらず天下一品である。

 文中、“教養”の本質を突く、堀越節の痛快な一節をご紹介。



 ――――――――――――――――――――――――

 皆さん、もっと教養をつけなさい。
 皆さんには教養がない。
 踊り手がビデオで名人の踊りを勉強するのは当たり前だ。これは教養じゃない。
 教養ってのは、自分の専門外の文化にも感動出来る目と耳を持っている、ということである。
 魚屋が魚のことを知っているのは教養じゃない。八百屋がバッハを語るのを教養というのだ。

 ――――――――――――――――――――――――









12/20水(その116)

フライング情報(成長の通過点)





07①エバ.jpg
 [パセオフラメンコ2007年1月号/表紙はエバ・ジェルバブエナ



 昨日につづき、パセオ新年号の第二特集[新人公演を考える]から『受賞者たちの新人公演“前後”』を見てみよう。



新人公演~前後.jpg



 登場するのは、躍進を続けるおなじみのアーティスト三名。すべて奨励賞受賞者だ。


◆鬼本由美(1992年奨励賞)
 『新人公演は成長の通過点』
◆有田圭輔(2003年努力賞)
 『出演でフラメンコの世界が広がった』
◆前岩里佳(2002年奨励賞)
 『新人公演はゴールではなくスタート』


 ではその中から、鬼本由美さん『新人公演は成長の通過点』(文:西脇美絵子)の一部抜粋を。




 もちろん受賞したいと思って出演したし、受賞できたことは大きな喜びでした。
 でも今振り返ってみて、私にとって新人公演がなんだったのかというと、受賞云々ということよりも、踊り手人生の通過点としての意味が大きいです。
 受賞はひとつの区切り、ひとつの結果ではあるけれど、踊り手としては、実はそれ以降のほうがずっと長い。
 そこからがスタートといってもいいくらいです。
 しかもその先は、何も頼るものがない獣道を探り当てるようにして、成長していかなくてはならないのですから。

 ここ数年は、生徒たちが出演するようになり、教える側・観る側の人間として新人公演に関わるようになりました。
 そこで感じるのは、受賞に重きを置きすぎない方がよいということ。
 賞を意識するあまり、表現者としての輝きや個性が半減しては本末転倒ですから。
 選考結果についてはいつも話題になりますが、「どうしてあの人がとれなかったの?」と観客に言われる踊りを踊ることにも、とても意味があると思います。




 う~ん、さすがは鬼本由美さん。
 特にラストの部分、納得!!!である。









★12/19火(その115)

フライング情報(異端の光)




07①エバ.jpg
 [パセオフラメンコ2007年1月号/表紙はエバ・ジェルバブエナ



 今日は、パセオフラメンコ新年号の第二特集[新人公演を考える]から『改革 ―― 新人公演/日本フラメンコ発展のために』。



改革~新人公演.jpg



 谷口編集長の失礼とも思える鋭いツッコミに対し、正々堂々まっ正面からご回答くださった日本フラメンコ協会濱田滋郎会長、田代淳事務局長の真摯な姿勢とその志には胸を打たれるものがある。

 協会の大きな功績からは、とてつもなく巨大で強固な組織と感じる方も多いだろうが、実際のところは、単にフラメンコを愛する人間たちが、手弁当で無理やり成立させている世界なのである。
 では、その三者対談のほんの一部をちょい見せする。



田代 日本フラメンコ協会は、公的機関からの援助はいっさいありません。協会員の会費で維持、運営している団体なんです。

濱田 お恥ずかしい話ですが、まだまだ、みんな手弁当でやっている団体なんです。

田代 協会の財政的基盤は、まったく確立されていません。これまで、理事、役員、事務局などの、好意と奉仕的精神によって成り立ってきたんです。現在の収入は、わずか年間500万~600万円程度。そのなかから、フラメンコの普及と発展のために、「新人公演」をはじめとした、さまざまなイベントを開催しているんです。大きな事業をやっていくのは、今のままでは、かなりの無理があるのが現状です。

 ――― 「新人公演」だけが、一人歩きしているというわけですね。

田代 そうなんです。新人公演の成功により、ある意味立派なことですが、あたかも協会が巨大な公的機構のように万全な団体だと思われています。しかし、現実はそうじゃない。それでも、なぜ関係者はがんばっているのか。自分たちが愛したこの世界を次の世代につなげたい、手渡したいからなんです。ところが、その受け手である若い世代が手をさしのべてくれないのなら、協会など続ける意味がないのではないでしょうか。



 太文字あたり(私が施した)に、いつも温厚な田代の淳さんから、思わず青き熱血の真情が漏れている。

 こうした事実は、フラメンコ愛好家の間には正しく伝わっていない。
 また、こうした事実を察知している多くのプロのアーティストや業界の方々が、フラメンコ界の未来のために協会の必要性を感じながらも、運営ボランティアはご勘弁という実情もある。
 こんなところにもフラメンコ協会の苦悩がある。

 協会は親かなんかと勘違いされている向きもある。


 「先輩にはおごってもらうが、後輩にはおごらない

 これが今の世の中の主流とも云うべき風潮だ。
 なにもフラメンコ界に限ったことではない。
 ましてや我らがフラメンコ。各人の強靭な哲学やそれぞれの事情もあるだろう。

 むしろ、そうした一般的風潮に逆らい、持ち出し一方のボランティア運営によって愛するジャンルを支えようとするフラメンコ協会のスタンスこそ異端なのである。

 「先輩におごられたら、後輩におごり返す

 良し悪しの問題ではなく、協会スタッフとはこういう旧式タイプに属す、ということになるだろう。

 云えることは、向こう数年の間にこうした光を放つ異端者の数がプロ・アマ問わず、ある一定数を超えればフラメンコ界の未来はそれなりだろうし、一般的感覚(面倒や出費は人任せ)が主流となれば、また新人公演もない昔へと逆戻りという、あまりにもわかり易い図式だ。



 現代においては、大パトロンに頼ろうとする発想は健全でも現実的でもない。
 また、モラルや啓蒙によって解決できる問題でもないだろう。
 もともとアートは、むしろ反モラル的であることによって、社会に豊かさを提供するものだから、既成モラルなんぞはクソ喰らえの世界なのだ。

   あくまでこれは、プロ・アマ問わずそれを愛する各個人の「アートに対するプライドの在り方」の問題なのだろう。
 一人ひとりの心意気によってアートを守ってゆくよりない、という国際情勢はもはや動かしようのない事実だから。
 よって、各個人のプライドの集積量の大小が、そのままアートの未来を決定してゆくのだろう。


 チリも積もれば山となる。

 私にも愛するアートがいくつかあるが、結局はこの言葉に賭けるしかないと思っている。
 誰かがやってくれるのではない。やるのはお前だろ、の世界だ。
 一度限りの人生を、ずっと内側から温め続けてくれるアートだもの。
 喜んでチリになったろかいと、私としてはほざいていたい。









12/18月(その114)

フライング情報(新人公演への提言)





新人公演/表紙.jpg



 パセオ(12/20発売号)の第二特集[新人公演を考える]は全13ページのかなり踏み込んだ内容で、自慢じゃないが、こいつはかなり読み応えがあってシビれるはずだ。
 ハタからは見え辛い、日本フラメンコ協会や新人公演運営のヴィジョン、そしてその厳しい実情というものが、かなり鮮明に浮かび上がっている。



 その企画のひとつ『私はこう考える/新人公演への提言』では、フラメンコを愛するおなじみの八名が、それぞれに踏み込み鋭くメッセージを表明する。


新人公演への提言.jpg


◆エンリケ坂井 『新人公演の選考』
◆岡本倫子 『フラメンコを評価することの難しさ』
◆川島桂子 『カンテへの愛情表現の場として』
◆鈴木眞澄 『フラメンコと真摯に向かい合うために』
◆高橋紀博 『若いみなさんへ』
◆高場将美 『もっとフラメンコらしさを』
◆西脇美絵子 『採点結果の公開を』
◆堀越千秋  『新人公演の華、奨励賞について』


 当然ながら、それぞれの意見に強い説得力がある。
 だから、フラメンコは面白い。
 だから、それを一本化するのは、もうこりゃ大変なのである。









12/12火(その110)

フライング情報(声の静けさ)





マイテ青柳.jpg
 [文と写真:青柳裕久



 パセオ新年号(12/20発売)から、私の大好きな歌い手マイテ・マルティンの記事をちょい見せ。

 スペインを本拠に活躍を続ける本格派ライター青柳裕久氏による、入魂の不定期連載フラメンコの深遠にふれる旅②は、『声の静けさ ―― マイテ・マルティン』。



 ――― 独自のスタイルのパイオニアとして孤独を感じますか?


 最初は孤独を感じていた。

 私のフラメンコの表現形式は、当時流行っていたものとは違っていたし、フラメンコとみなされていなかったから。
 でも、当時からずっと音楽性と繊細さはフラメンコ性とぶつからず、並び立つものだと信じてきた。
 今やフラメンコ独裁は去った。
 他のジャンルの音楽同様に、フラメンコにおいても、やっとエレガンシアも美点のひとつとみなされるようになった。
 だから、今は孤独を感じていないよ。




 (↑)ううう。よ、よかった。(TT)









12/11月(その109)

フライング情報(ビエナルがみせたフラメンコの現在)





ポベーダ志風.jpg
写真:高瀬友孝/文:志風恭子



 パセオフラメンコ2007年新年号の小目玉は、ビエナル(二年に一度のフラメンコ最大の祭典)のレポートをカラー4頁で。


 在西二十年、“フラメンコの架け橋”志風恭子でなくては描けない視点から、この秋のビエナル・デ・アルテ・フラメンコを俯瞰する(ラストにちょい見せ)。
 いつもながら冴えまくるライブ写真は、もちろんこの人、高瀬友孝。
 注目作品のレビューや、各国プレス・評論家の感想も併せて掲載。
 ビエナル自身が語る現代フラメンコのいま。



 ビエナルは監督で変わる。

 産みの親であるホセ・ルイス・オルティス・ヌエボ(現マラガ・エン・フラメンコ監督)時代(1980~96年)は、監督の企画によってアルティスタを集める舞台と、アルティスタがつくってきた作品の2種類の公演があった。

 マヌエル・エレラ時代はアルティスタによる新作を探し集め、前回監督は華やかさを求めた。

 今回のドミンゴ・ゴンザレス監督は確実さを求め、無難なプログラムを組んだ。
 すべてのアルティスタをビエナルに一堂に会すのは、所詮無理である。
 今回は舞踊に焦点をしぼり、現代フラメンコを代表する踊り手たちを集めた。









12/7木(その107)

フライング情報(夫婦ゲンカ)




エバ日常2.jpg
 [写真:高瀬友孝/構成と文:青柳裕久/インタビューと通訳:天野里絵



 次号パセオのエバ・ジェルバブエナ特集。
 そのちょい見せのラスト。
 エバのプライベート日常編は、題して『愛のある日々~家族とフラメンコと』。


 会話と写真の空気の中から、エバの素顔がくっきり浮かんでくる。
 うーん、なるほど。こういう人だったんだあ。すべてがつながってくるみたいな感じ。

 で、彼女の連れ合いは、仕事の上でも誰より信頼できる名ギタリスト、パコ・ハラーナ。
 ところであの、夫婦ゲンカはどーやるの?



 ――― 夫婦ゲンカをすることはあるの?

 ハハハッ。もちろんよ。ふだんから長い時間を一緒に過ごして、いつも一緒にいるもの。
 アーティスト同士としても、夫婦としても口論、激しいディスカッションをつねにやり合っているわ。
 真剣にお互いを知りたいと思えば、それは当然のことじゃない?
 そうやって本音の部分で、二人の折り合っていけるところを見つけていくの。
 お互いに自分にないものを相手から学ぶし、お互いを尊重している。助け合いもするし。
 パコが苦手なことを私がやったりね。たとえばパコは……



 ううむ。しんどそーだけど、やっぱこれが王道なんだろな。



 ――――――――――――――――――――――――

 速報!ってほどのものではねーですけど。

 現在フラメンコ界の水面下では、このよーなトホホな超小型プロジェクトが深く静かに進行中であります。


 で、も一つついでに、久々アップの“フラメンコ超緩色系”。その176回は『秋の終わりに』。








12/6水(その106)

フライング情報(エバの進化)




エバ白.jpg
 [写真:高瀬友孝/文:ハビエル・プリモ/訳:東敬子



 パセオ新年号のエバ特集から、昨日につづき今日は『エバ、自らの創造を語る』からのチラ見せ。




 でも、ニーニャ・デ・ロス・ペイネス、アントニオ・マイレーナ、ファン・タレガといった人たちを聴くと、これ以上の新化を誰ができるんだろう、って思ってしまいますね……

 ――― でも芸術に競争はないでしょう?

 私は、現実的に言って、アーティストの間ではいつもあると思います。
 でも、私は、いつも、そしてこれからも、競争する相手は自分自身だと思っています。
 毎日、向上するように、アーティストとしても、一人の人間としても。自分自身であること。
 それが究極のゴールです。

 私はフラメンコを、自分が感じたことを他人に伝える道具として使っています。自分が感じるように、自分の人生観に合うように、その道具を使うんです。
 そうやって最初に、自分自身が進化(変化)しました。良くも悪くも。
 そしてその道具自体も、良くも悪くも、進化しています。
 フラメンコ、そしてフラメンコをやる人は、それぞれ、時代、そして今の自分を反映するものだと思います。








12/05火(その105)

フライング情報(特集 Eva)




 エバ。

 そう、あのゴールデン・ハーフのエバ特集だ。
 かって一世を風靡したゴールデン・ハーフはフラメンコ舞踊団として復活したのだ!って、そんなワケねーだろ。



エバ特集トップ.jpg
 [写真:高瀬友孝/文:ハビエル・プリモ/訳:東敬子



 熱きご要望にお応えして、パセオフラメンコ2007年新年号(12/20発売)では、超人気バイラオーラ(女性舞踊手)エバ・ジェルバブエナを特集する。



エバ普段着①.jpg



 いよいよ2007年1月、3年連続で来日を果たす
 エバ・ジェルバブエナ。
 幼いころはけっして幸せな家庭環境になかった、と彼女は言う。
 だが、彼女はひたむきに自分のフラメンコを追い求めた。
 そして今、エバは、夫や娘とあたたかい愛につつまれ、さらに深みを増したフラメンコを創造している。





 渾身のオールカラー16頁で、エバ・ジェルバブエナの魅力の源泉に迫る今回の大特集の出来は星★★★★★。
 文句なしの自画絶賛である。
 とにかく胸が熱くなるような出来栄えで、窓際社長であるこの私が、当欄にて★五つを出すのは初めてのことだ。

 こればっかりは、是非にともご自分で購入して読んでいただきたいっ! 読み終えた新品のパセオは、新品の鍋敷きとしても使用可能なのである。








11/20月(その94)

本日発売!パセオフラメンコ12月号





06年⑫.jpg





 フラメンコに一発でハマる人は多い。

 ギター、カンテ、バイレ。いずれもそうだ。
 高校時代にパコ・デ・ルシアのフラメンコギターに一発でやられた私が、現在パセオフラメンコの窓際(生ゴミ置場隣接)の社長デスク(中古)にこうしてへばりついているのもそうしたインパクトの結果なのである。
 いやまったく、実に強烈なアートである。


 観る者聴く者にそれだけのインパクトを与える一方、実際にそれをやる方はもー実に大変である。
 ギターは手を、カンテは喉を、踊りは身体全体を酷使することになる。
 ほとんどアスリートと云っていいかもしれない。

 だからこそ、“身体メンテナンス”は極めて重要なテーマになる。
 上達のための練習とメンテナンスは、常にセットで考える必要のある姉妹関係のようなものかもしれない。



06年⑫特集.jpg



 今日発売のパセオフラメンコ最新号では、そのテーマに真正面から取り組んだ。
 ずばり『バイラオーラのための身体メンテナンス』と題した特集(総天然色・全16頁)である。

 そのオープニングは『もっと美しく踊るために~踊り手の身体を知る』。
 関根陽一先生(鍼灸、マッサージ)は、その冒頭でこう語る。




 プロスポーツ選手や世界大会に出場するトップアスリート、そしてプロフェッショナルのダンサーの身体には共通点があります。
 それは、正面から見て細く、横から見て太い身体であるということ。
 前から見れば、みなさん均衡がとれて、すらりとしたプロポーションですが、横から見ると、胸とお尻は、非常にしっかりしています。
 それが身体の幹、体幹(胸、腹、背中、腰)の頑丈さにつながっているのです。

 このように、踊り手の身体もアスリートの身体も、基本的には変わりません。
 しかし、アスリートは記録との闘い、踊り手は美しさの追求と、目的が異なるため、発達する部位は変わってきます。









11/15水(その92)

フライング情報(幻の黙祷)




 発売迫るパセオフラメンコ12月号!
 『痛快!?フラメンコ濱田塾!!』、その第11講はタンゴスのこと(その2)。
 その枕を少しだけご紹介するが、ちょっといい話。



 フェルナンダ・デ・ウトレーラは飛行機嫌いもあってついに一度も来日はしませんでしたし、CDなどの数も限られていて、一般的知名度は低いかもしれません。
 でも、そのカンテを「フラメンコの魂」に直結するものと感じて深く敬愛する人の数は、日本にもけっして少なくありません。

 現に、「新人公演」開始直前、ある人からこう提案がありました。
 ―――― 「ちょうどフラメンコ・ファンが大勢集まっているんです。皆にフェルナンダ逝去のことを知らせ、一分間の黙祷をしませんか」と。
 ジンと来る言葉でした。

 でも、その人にはたいへん申し訳ないことに、それは実現できませんでした。
 ご存知の方がたもあると思いますが、出演希望者が年を追って多く、本当に「綱渡り」で、分刻み、秒の刻みのタイム・スケジュールを組まねばならない「新人公演」の中では、黙祷および説明の時間を取ることは許されませんでした。

 本当にごめんね、ワカバヤシ(堀越さんのまねをするわけじゃなく、そう言ってくれたのは、ほんとうにあの有名な若林さんなんです)。




「逆転のひかり」フェルナンダ・デ・ウトレーラ.jpg









11/13月(その90)

フライング情報(曽根崎心中/六年目の挑戦)




宇崎.jpg
 写真:川崎栄/文:谷口哲哉(パセオ編集長)




 2001年の初演から六年連続の上演。
 そう、『FLAMENCO曽根崎心中』だ。
 フラメンコの世界では異例のロングランである。

 もうすぐ発売となるパセオ12月号では、主演のお二人(鍵田真由美、佐藤浩希)に、プロデュース・音楽等を担当する宇崎竜童、阿木燿子の両氏を迎え、全4ページのデラックス座談会を実現!
 各氏の発言をちょびっとだけフライング掲載しよう。




 初演の前、まっさらな状態のとき、阿木さん、宇崎さんから楽曲をいただいた。さて、この楽曲にどうやって振りを付けていこうかと考えていたんです。
 私がスタジオに行くと,真っ暗なスタジオに大音量の音楽だけが聞こえる。
 なかを覗いてみたら、そこで佐藤は、まるで踊らされるかのように振りを作っていたんですね。
 自分で作るんじゃなくて、楽曲に踊りを作らされるように。
                   (鍵田真由美)



 僕はいつも、カンテを聴きながら、歌詞に触発されて振付を作るんです。
 それとまったく同じアプローチで作ったのが『FLAMENCO曽根崎心中』。
 こういう動きはフラメンコ的、こういう動きは日本舞踊的だとか、そういうことはまったく考えなかった。
 楽曲から受けたイメージをもとに、自分に降りてきた感情をそのまま振りにしていったんです。
                    (佐藤浩希)



 作詞と台本を書いている立場からいえば、当たり前ですが、この作品には心中に至るまでの筋道があるんです。
 その道筋をフラメンコで紡いでいくわけです。
 実際にこの作品を手掛けてわかったんですが、突き詰めたときの人間の情念というか、死と生に対峙したときの人間の感情を表現するのに、フラメンコはぴったりだなって。
                    (阿木燿子)



 何かを伝えるっていう意味において、この作品は「フラメンコの世界」ではルール違反を犯しているかもしれないね。伝統的なフラメンコを継承している人たちから見れば。
 でも、何かがブレイクするときはね、常識を覆すってことが必要なんですよ。
 それは、往々にして、周囲の力や時代の流れが作用する。何かに求められて、やらざるをえないってことかな。
                    (宇崎竜童)




 彼らはただ自然に、オーソドックスともいうべき想いを淡々と語る。
 目的を忘れた過度の安全志向がまかり通る今の世にあっては、彼らの発言はむしろエキセントリックに聞こえてしまうかもしれないが。

 傷つくことを恐れず、自ら信じる道を迷わず歩み続ける潔い生き方。


 し、しまった。編集長にこの正統派四氏のツメのアカ頼むの忘れたあ。








11/09木(その89)

フライング情報(成長の証)




今枝友加.jpg
 写真:川崎栄/文:谷口哲哉(パセオ編集長)




 11月20日発売パセオの巻頭カラー頁 [ Nuevos Aires /新しい風たち] は、リサイタル(10/11エルフラメンコ)を終えたばかりの今枝友加さん。
 約百名の人たちがチケットを入手できずに涙を呑んだという人気抜群の期待の星だ。



 フラメンコだったら、それでいいのか?
 観る人が楽しめなければ、意味はない。
 そして、縛られちゃだめなんです。
 いろいろ気にしてたら、やりたいことなんて、何もできませんよね。



 1978年愛知県出身。2003年日本フラメンコ協会新人公演カンテ部門、2004年同バイレ部門で奨励賞ダブル受賞。
 まだ二十代。久々にガチンコ本格派の登場である。








11/08水(その88)

フライング情報(カンテの肝に触れるまで)




川島桂子.jpg
 写真:大森有起/文:菊地裕子



 11月20日発売のパセオフラメンコ12月号。
 その「ビボ・コン・フラメンコ」はお待ちかね、人気カンタオーラ川島桂子の登場だ。



 「『曽根崎』では日本語の歌だから、カンテとは身体の全然違うところを使ってる感じで、初演のころはすごい違和感があったの。
 もっと“お初”に近づきたいと思って、3回目ぐらいから少しできたような気がしたんだけど、ヘレスでは、すごく近づいた!って思えた。
 それまでは、カンテは身体に無理して“作って”歌って、日本語の歌も“作って”歌ってたんだと思う。それがヘレス公演では、私の中でひとつになってきた」

 公演を見に来たドローレス(アグヘータ)は川島の歌をとっても喜んでくれ、こう言った。

 「あんたがあんな声を出すなんて知らなかったけど、とても似合ってる!“voz dulce”(甘い声)が、本来のあんたよ」

 川島が、「でも、フラメンコじゃないでしょ?」と言うと、「それは関係ない!」とドローレスは応じたという。

 関係ない ―――― なんてすてきな言葉だろう。
 この時、おそらく川島は、カンテのこうあらねばならぬと自らに課していた呪縛から、少し自由になったのではないだろうか。




 その昔、川島桂子は個性的で超優秀なグラフィック・デザイナーだった。もちろん天然系だったが。
 単行本の装丁を幾度か彼女に依頼したことがあるが、その意表を突く出来栄えの素晴らしさは、そのたびに私たちを狂喜させた。

 カラオケがめっちゃうまい、その後の川島の大冒険にもビックリさせられることばかりだったが、その最たるものが“本格派カンタオーラ川島桂子”の誕生だったのである。








10/20(その72)

本日発売!(その歌声は永遠に)




  追悼 フェルナンダ・デ・ウトレーラ
     「その歌声は永遠に」




06年⑪フェルナンダ.jpg
    文:志風恭子/写真:高瀬友孝

 (以下、志風恭子による追悼文をほんの一部抜粋)



 そのソレアは言葉の壁さえ越え、聴く者すべての身体に、心に、大きな哀しみそのものとなって飛び込んでくる。
 彼女の声を最初に耳にしたときの、身体が震えるほどの衝撃。戦慄。わけのわからないまま、ただ涙が流れてくる。
 そんな思いをしたのは私だけではないだろう。
 彼女の歌に出会ってなかったら、今のようにフラメンコと深く関わってはいなかったかもしれない。



    ********** ********** **********



 歌う 男たちのためだけに

 その歌の痛みは 姿を変える
 過去の痛みに 今の痛みに
 誰もが 思いだにしなかった痛みに姿を変えるのだ

 そうして
 思いがけない愛にも
 永遠の 光り輝く愛にも
 フェルナンダは未来 そして過去
 愛に死なんばかりの
 今のヒターナ

 (カルロス・レンセーロ「フェルナンダ」1991年)








10/19木(その71)

フライング情報(熱く長い一日)




 あした発売! パセオフラメンコ11月号。

 その第二特集は、夏の日本フラメンコ協会新人公演。
 題して『フラメンコたちの熱く長い一日』。
 受賞者の想い、拡大レヴュー、新人公演への道(最終回)等々を全12頁でお届けします。



06年⑪新人公演.jpg
[特集/フラメンコたちの熱く長い一日]写真:北澤壯太



 “フラメンコ界の良心”こと、私の大好きなライター西脇美絵子(プロデューサー)が、新人公演レビューでこんなことを書いている(ほんの一部抜粋)。



  “上手い”の先にあるもの


 では、一体その踊りの何が、私の感情を揺さぶったのか?
 それは多分“踊る人の意思”ではないかと思う。
 これは気合とは似て非なるもので、意思はより具体的で明確だ。
 自分はなぜここに立っているのか?
 フラメンコをどう踊りたいのか?
 何を表現したいのか?
 その意思が感情と見分けがつかないくらい、その人にとっての必然となったとき、他者に波紋を引き起こすのではないかと思う。



 う~ん、慧眼!!!
 まいったあああ。








10/18水(その70)

フライング情報(成功の素)




 発売迫る、パセオフラメンコ11月号。
 その第一の目玉は永久保存版特集『発表会大研究』だ。



06年⑪発表会.jpg
 [特集/発表会大研究]写真:川崎栄



 「ココが知りたい、105名アンケート・リアル実態調査」
 「発表会を通して学んでほしいこと by AMI」
 「ヘアアレンジテクニック徹底マスター」
 「今すぐ使える!発表会裏わざスクラップ」


 などなど、編集部総力取材の成果はきわめて上々で、これで770円は絶対安いよお客さんって、今日はアメ横オヤジかよ。


 さて、この大特集の中に、私好みの傑作企画があった。
 「発表会でこんな失敗しちゃいました!」、である。
 うっそー、みたいな16のほんとの失敗談が載っているのだが、今日はその中から三つばかりご紹介。


本番中、友人の胸パットがコンパネの上にぽとりと落ちた。(兵庫県・Sさん)

着替えが舞台裏の暗い小さなスペースだったので慌ててしまい、頭を思い切りぶつけて額から血を流しながら踊りました。(大阪府・Oさん)

グアヒーラのエスコビージャで逆走してしまった。
 ティエントの群舞で全員が一瞬、魔法にかかったように振りを忘れてしまった。
(京都府・Fさん)



 う~、(↑)ツッコミ入れてえ~。
 これらはほんの序の口である。
 アンケートにご協力くだすった皆さまよ。お慰めるする言葉もねーです。(TT)








 9/20水(その50)

本日発売、10月号!




 結論から云うと、10月号も買いだっ!

 最近のパセオフラメンコは相当いいんじゃねーのって本気でそう思ってしまう私は、裏表のない純粋なパセオのまわし者である。


06年⑩月号.jpg
[パセオフラメンコ2006年10月号/表紙はアントニオ・ガデス舞踊団]


 先日テレビデビューを果たした谷口哲哉編集長に、
 「最新号のイチ押しは?」とインタビューすると、
 「特集ですかね」とこう返したが、
 「全部面白いに決まってるでしょうがあああ」と顔に書いてある。こりゃまた失礼しやした。



 さて、『魔法の箱、テアトル』と題されたその特集。

06年⑩特集.jpg


 さすがに、タニが胸を張るだけのことはある。
 「これらを知ってると知らないじゃ、オヤジとワラジぐらい違う」というぐらいの内容だ。

 これから発表会の舞台に上がろうとする練習生が事前に知っておけば大いに助かることから、プロのアーティストも知りたかったこと(裏方情報の入手は難しいのだ)に至るまでが、実にしっかり網羅されている。


 保存版にして舞台に出演する半年前にはアマプロ問わず毎度必ず読もーねと、裏表のない純粋なパセオのまわし者としてひと言申し添える次第である。








 9/15金(その46)

フライング情報(パセオ10月号その③)




危うし、濱田塾長!


hamada.jpg
              (画と文:濱田滋郎)



 小田急線・柿生にお住まいの、クラシック音楽界屈指の名評論家にして、日本フラメンコ協会会長であられる濱田滋郎塾長は、人気連載「痛快フラメンコ濱田塾」冒頭で、このようにおっしゃられている。

 「えーと、皆さん。わたしのふだん使っているオバQ線はですね……」


 …………。
 こ、これ、みんな何をしている。ず、頭が高いぞっ。ひ、控えおろぉーがあー。


 とゆーわけで、絶好調である。破竹の勢いである。
 この連載ある限り、フラメンコ界もパセオフラメンコも不滅なのである。
 と、ところが、哀しいことに不祥事が発生した。
 以下に少しだけバラすが、詳しくは10月号を参照されたい。




(前文略)……

 たしかアリカンテの町でした。
 バレンシア県下、のんびりした感じの明るく美しい町で、白昼の静けさは、アリカンテも聞こえるほどでした。まさか。(社長注:ひえぇー)
 でも、そんな平和郷で、わたしは空港を出るなり連行されたのです。




 うわあっ、濱田塾長の運命やいかに?
 待たれる9月20日発売号。
 いまその前科が明らかになる!のかっ?









 9/14木(その45)

フライング情報(パセオ10月号その②)




石塚隆充の挑戦


ishizuka.jpg
       [文と写真:青柳裕久][レイアウト:吉田稔]



 「次は珍しい参加者が登場します。でも、カンテを唄うには変わりありません。セビージャ在住、日本から来たタカに、拍手をお願いします」

 今年4月末のペーニャ・フラメンカ・デ・エスポテナ(マラガ県エスポテナ市)主催のコンクール予選。
 石塚が舞台に現れるだけでどよめきが起こる。
 ソレアのサリーダに入ると、会場がようやく静かになった。
 最後にはカンテを伴奏するようなハレオを引き出したが、賞賛と驚きの混じりあったざわめきが続いた。
 そんな中、審査員と観客が信じられないという顔で、お互いを見合わせる。
 「カンテを本格的に唄う外国人」への戸惑いがそのまま会場を包んだ。







 悪いな、この先はパセオで読んでくれや。

 私たちもみな、それと知らずにタカさんのカンテを初めて聴いたときには、てっきりスペイン人が歌ってるのかと思ったもんだよ。

 それにしても、私たち日本人は相撲や柔道でもうすっかり慣れちまったけど、そこらへんの感情ってホント微妙だよな。









 9/13水(その44)

フライング情報(パセオ10月号その①)





 だーれだっ?


okamoto.jpg




[ヒント]
 パセオフラメンコ10月号を買って読むと、たぶんわかるでしょう。買わずに読むと、たぶんわからないでしょう。








8/25金(その31)

フライング情報(エバ!)





エバ2004⑫.jpg


エバ表紙06①.jpg


2006年⑩月号.jpg




 とゆーわけで、エバ が来日する。


 そう、あのゴールデン・ハーフの“エバ”が……のワケはねーだろ。
 写真を見ろよお、写真をーっ。
 ん、長い髪の少女……?……そりゃゴールデン・カップスだっつーの。

 とゆーよーな43歳以上対象の極寒マクラは本日限りで切り上げ、早速本題に入りたい。
 エバの招聘元プロデューサーK氏からゆうべ届いた緊急業務連絡はこんな感じだ。



エバ・ジェルバブエナ、
日本初演作での来日公演が決定!



 時期は、来年1月17日(水)、18日(木)の二日間。
 東京公演(新宿文化センター大ホール)計2公演のみだが、共に新作(↓)の可能性が高いという。

◇4Voices(ア・クアトロ・ボセス)
◇Cal y Canto(カル・イ・カント)



 決してブレない求心力を軸に、近ごろはかなり思い切った演出にも大胆チャレンジするエバ。
 私の場合は、エバのフラメンコが観れるならもうそれだけで恩の字なので実は演目は何でもいいのだが、そーゆーことを云うとK氏からドヤされそうなので、今回の新作二作には特に大きな期待を募らせているということになるだろう。


 なお、今回のエバ公演についてはパセオでもチケットを取り扱う可能性が出てきた。
 そうなる場合は当サイトのトップページで告知(たぶん来月)するので、用心の良い方は注目しといてね。








8/20日(その26)

本日発売!





06年⑨表紙.jpg
[パセオフラメンコ2006年9月号/表紙はマリア・パヘス]




 本日発売、 月刊パセオフラメンコ最新号!

 この号の私のチョーお気に入り記事は、マリア・パヘスのインタビューを筆頭に六つあった。
 その中に、特に印象強く、後々もじんわり効いてきそうなエッセイがある。



 『フラメンコの光を浴びて』 俵英三

         第30回/ペペ・アビチュエラ(2)




 あのギタリストでさえ、いや、あのギタリストだからこそ、あんなにも苦い経験に遭遇したのだろう。
 そして、それを乗り越えるプロセスの中で彼のギターは本物になって行ったのだろう。
 わずか一音の中に人生の深いドラマを映ずることの出来る、俵英三という優れて真摯なフラメンコギタリスト。
 その彼と同世代であることを、私は誇りに思う。






 たわらぁー、えーぞー!



 って、こんなことでは、俵くん的にはオレと同世代であることが恥かしいにちがいないと思われる。








8/8火(その15)

フライング情報



   じゃ~ん。


マリア.jpg
[マリア・パヘス インタビュー/撮影:北澤壯太、デザイン:吉田稔]


  かっこえー!


 そう、愛しのマリアさまである。
 言葉では形容しようのない美しさだ。
 いつも思うのだが、ちょっと碇山奈奈さんに似てないか。

 編集部は、これを表紙にするかどうかでさんざ迷ったらしい。
 それにしても北澤壯太のポートレートって、どきっとするようなのがほんとに多い。
 ジェルバブエナのこれなんか(去年の10月号)も凄かったよな。

2006年⑩月号.jpg



 ま、それはさておき、お待ちかねマリア・パヘスのインタビュー(5月15日収録)だ。
 スペイン語ぺらペら、ときどきカンタオーラの濱田吾愛が、これまでにない新鮮な切り口で突っ込んだ全三頁ものだが、もうあと見開き分くらい読みたかったなあ。



――――音楽を聴くと、自然に踊りを思い描くわけですか。

 音楽に心を動かされると、まず湧き起こる気持ちが〈踊る〉ということなのね。
 「どこからその踊りが湧いてくるの?」と聞かれたら、答えはいたってシンプルね。
 好きなもの、心を動かすものに合わせて踊るだけ。
 それは、そんなに難しいことじゃないと思うわ。




 そんなに難しいことじゃない、ってマリアさまはこうおっしゃっているぞお、みんなあ、わかったかあ。ってマリアーっ、そーゆーことをサラッと云ーなよサラッとぉー。








8/2水(その11)

沖仁、メジャーデビュー!




 フラメンコギターの若大将、沖仁さんのCDメジャーデビューが決まった。
 メジャーとは東芝EMIだ。やったな、凄いぞ。

 彼のブログを読んでると、その制作プロセスが見えてきたりするのだが、その様子は実に大変そうであり、また実に楽しそうでもある。
 彼の2ndソロはパセオでも人気のCDだが、それを上回る出来となることは、まず間違いのないところだろう。


 彼の積極的なアプローチで実現したパセオフラメンコのリズム上達(音源付)超人気講座“JINOKISM”も、予想以上にバイレ練習生の需要をつかんだみたいで、このホームページ上にあるその音源コーナーへのアクセスは、この“社長室”の数百倍と云われている。

 私が盛り返すためには、私のギターや歌の音源をこのページに埋め込むしかないが、それを実行するやいなや、ホームページ・チーフ塩川は迷わずこのサイトを閉鎖するだろう。ま、それもひとつの愛社精神だ。


 さて、先月私は久々に沖さんのソロ・ライブ(7/8、銀座ヤマハ)に出かけた。
 彼のギターは、聴くたびに必ず前に進んでいるので、今回もそれなりに期待を上乗せしてそれに臨んだわけだが、彼の進化は私の見積りをはるかに超えていた。

 大胆にもすべて生音で通したライブ詳細は省略するが、ひとつだけ云うと、音楽全体の俯瞰とその制御力は、すでに国際線ファーストクラスだ。


 終演後、関係者とダベっていると見知らぬ美女が近寄ってきて、
 「社長のブログで知って聴きに来ましたが、とてもステキでした」
 とひとこと云い残し、そよ風のように去っていた。
 いただいた名刺をぐぐってみると、彼女は高名な経済評論家で、行き先ではこんなことになっていた。



IMG_0005.JPG
[サイン会を終えたJIN OKIと、冴えたパルマのMichicoさん]



 勢いが止まらないJINOKISM。
 次回のソロライブは、9月7日オペラシティ近江楽堂。
 そして、待ちきれないソロ3rdアルバムは11月22日リリースとなる。








7/25火(その5)

フラメンコ効果




 今朝の毎日新聞。

 ミス・ユニバースのコンテスト(米ロス)で、日本代表の知花くららさんが堂々の二位入賞。
 沖縄・那覇市出身、上智大学文学部卒の24歳。英仏スペイン語をこなし、将来は国際リポーターをめざす才媛だ。
 そして、な、なんと、趣味はフラメンコ! なのである。
 凛とした姿勢の写真をみると、さもありなんと思う。


 おとといの夜だったか、テレビで阿川佐和子さんがほんの一瞬フラメンコを舞った。
 ご覧になった方も多いと思うが、ありゃビシッと好感度だったよなあ。
 人気者の彼女はますます評判を上げたことだろう。


 そんなこんなを狙って始めたわけでもあるまいに、このふにゃけた時代、フラメンコを選んだ人は、そこそこ有利なような気もしてくる。








7/24月(その4)

カンパージョ、十月来日!




 注目のイケメン超強豪バイラオール、ラファエル・カンパージョがこの十月に来日する。
 野村眞里子さんがご自身の舞踊団公演(王女メディアの再演)にゲスト招聘するのだ。


 フラメンコ協会の今年の新年会では、DVD発売のプロモーションで来日中だったラファエルの踊りをわずか2メートル先で拝むことができたが、その芸風がかなりアグレッシブ(もちろんいい意味で)に変貌を遂げていたことに驚かされた。
 「力のタメ方とそれを解放する瞬発力」の鋭さにもさらに磨きがかかっていたのだ。


カンパージョDVD.JPG
[ラファエル・カンパージョのDVD]


 近ごろ注目すべき男性舞踊手は数多いが、彼の“ストイック&パッション”なフラメンコが、いまの私には理屈抜きで一番楽しめるな。


 ラファエル・カンパージョ。
 その近未来ポテンシャルは予測不可能だ。








  •  
  • フラメンコって何?
  •