日刊パセオフラメンコ

2017年07月22日 しゃちょ日記/平松加奈ライヴ!

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2017年7月23日(日)その2907◆平松加奈ソロライヴ

オリジナルフラメンコ満載、世界を股にかけて活躍する
ヴァイオリン・ヴィルトゥオーゾ加奈ちゃんの
意欲的なプログラム構成に大感激っ!!!
さまざまなジャンルに的確に反応しながら、柔らかに
あるいは鋭く踏み込むセンスを観逃す聴き逃す手はない。
殊にフラメンコには絶対的な相性を感じる。
アルバロ讃歌と大好きな『映画ひまわり~平松バージョン』の選曲にも感謝!!

1. El Vito canción tradicional de Córdoba
2. Tangos compositora Kana
3. Alegrias compositora Kana
4. Los Girasoles(ひまわり)compositor Henry Mancini
5. La vida breve compositor Manuel de Falla
6. Milagro (アギラール デ ヘレスに捧ぐ)compositora Kana
7. Kiri-te compositora Kana

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パセオフラメンコライヴVol.062
平松 加奈 ヴァイオリン ソロライヴ
2017年7月26日(水)20時開演(21時10分終演予定)
於:高円寺エスペランサ
主催:月刊パセオフラメンコ&エスペランサ
出演:       
平松 加奈(ヴァイオリン)
大渕 博光(カンテ)
柴田 亮太郎(ギター)
海沼 正利(パーカッション)
電話予約:昼☎03-3383-0246/夜☎03-3316-9493
      
忘備録執筆は石井拓人(パセオ10月号)、フロントは御子柴明子、バックは小倉編集長、
照明は田代淳、フロア監督は渡邉悦子、雑用係はおれ。

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2017年7月22日(土)その2906◆上野のお寺

来春、父の他界した年齢に達する。
温厚で誠実な彼の流儀は引き継げなかったが、
彼の愛したアートにはどっぷり浸かって来れたから、
いまだ問題児なおれにしては上出来じゃないかと想いたい。

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父のよく口ずさんだ西欧ロマン派音楽と古賀メロディ(昭和初期の浪漫派歌謡)は、
この頃から叩き込まれた可能性が高い。
昭和32年ころの江戸川区小松川(小松菜やおれの原産地)で、大きいほうが父。

道楽を生業とすることを彼は私に望んだ。
経済的な理由から絵描きの道を断念し12歳で職人修業に出た父は、
そのやるせない無念を何らかの形で開放したかったのだろう。
晩年は古賀メロディを弾く私のギターを好んで聴いた。

昨晩はエンリケ坂井のカンテ奥の細道講座、あす昼は石塚隆充のカンテ入門講座、
これから2018パセオライヴのスケジューリングをさくさく片づけ、
日暮里の羽二重団子とセブンスターを土産に、
久しぶりに彼の眠る上野の寺へと出掛ける段取り。

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2017年7月21日(金)その2905◆マーチの名残り

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「シューベルトの軍隊行進曲だよ」

通い始めた小学校の朝礼の音楽を口ずさみ、
この曲なーに?と聞くとそう答える父。
週にいっぺん通う駅前の銀行にいつも流れているのがこのメロディだ。
ピアノトリオによるゆっくり目のジャズバラード風アレンジで、
しかも三拍子である。
原曲のあの勇ましいニ拍子マーチだと、
機械操作がかえってギクシャクしそうだから、
そこらへんへの配慮かと想われる。

だが、最近のことはともかく昔のことだけはよく憶えてる私の脳裏には、
タッタカタータ、タッタカタータ、タッタタッタ、
タッタカタータ、タ・タ・タ・タンッ♪~という
あの懐かしい軍靴の響きが原曲通りビシバシこだまし、
ピシッと姿勢が良くなる分だけ操作ミスが増える(汗)

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2017年7月20日(木)その2904◆時間旅行

創刊34年目となる9月号(8/20発売)を先ほど入稿。
ライバルもいない月刊フラメンコ専門誌の、
張り合いのない世界最長記録の更新である。
34年という歳月は、平和な浦島世代にはアッという間にも感じられる。
一方で激動の時代の同じ34年間というのは、
ひたむきで濃密な人間模様を感じさせてくれる。

江戸時代の終わる明治元年(1868年)からの34年間には欧米列強の侵略に備え、
良くも悪くも日本の国家体制・経済・文化は大きく様変わりする。
さらに太平洋戦争に突入する昭和16年の34年後(昭和50年/1975年)、
食うや食わずの敗戦の荒廃から立ち直った日本は奇跡的な経済成長を遂げる。
そうしたスーパーコントラストな34年間を、
当時の人々はどんな想いで生き抜いてきたのだろう。
     
ところで、もしも仮に34年前(1984年)に遡り、
当時の私(28歳)に出喰わすことになったとしたら、
若い彼に対し老いた私(62歳)はどう対処すべきであろうか?
下手な助言でその後の歴史を変えてしまえば、時間旅行ライセンス剥奪の上、
時間管理局から重い処罰を喰らうだろう。
だが時すでに遅し、私を未来の自分と察した彼はつかつか歩み寄り、
いきなりこう問い掛けてくる。

「俺はあんたの歳まで永生きできるのか?」
短命承知で飛び込んだ世界なのに、目の前には自分らしき老人がいる。
「さあ、そりゃどうかな」
老人が曖昧にそう答えたのは、無鉄砲と生意気だけで
世渡りしてきた彼がヘタに楽観すれば、
即座に享楽のドン底へと一直線に転落することが目に見えているからだ。
生きるか死ぬかの緊張感で突っ走り続けない限りお前は自滅し、
その連鎖から未来の俺も消滅するだろう。
ほんとうは地味で辛口なアドバイスをしたいのだが、上手いセリフが思いつかない。
こりゃいかん、ヘタ云えば未来が妙にねじれてしまう、長居は無用だ。
素早く奴の左アゴに右フックを喰らわせ、一目散にタイムマシンへ乗り込む。

未来の自分にいきなり殴られた彼の頭の中は
「?????」でいっぱいのはずである。
理由を解明したいところだろうが、慣れない出版で忙し過ぎる日常が
そんな時間は与えてはくれないはずだ。
そう、これまで通り迷わず失敗の海を泳ぎ続ければ、それでいいんだ。
やれやれ、タイムスリップはもう懲りごりだな。
改善するのは未来に続く今日一日、いま現在だけでいい。

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2017年7月19日(水)その2903◆帽子の所有者

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『さまよえるオランダ人』。
    
年代的にみて父の愛聴盤はこれ(フリッチャイの1952年録音)ではなかったか。
ヨーロッパの浪漫派クラシックと母国の古賀メロディを等しく愛した彼は、
ワグナーのこの名曲をよく口ずさんだ。
そんなんでオランダは、当時アメリカしか知らなかった私が二番目に知った外国。

チューリップと風車、安楽死、合法売春、同性婚、ワークシェア、
自転車通勤と路面電車、バッハ演奏の本流などなど、
人々の本音を合理で解明し、次から次へとゴリゴリ推進するオランダ文化。
アメリカン軽チャーや腐れ朱子学に幻惑され
グズグズ決断しない私たち日本人には驚きが多い。

倹約好きでメシが不味いことでも知られるオランダの合理思考には、
人工知能との共通点を感じることも多い。
「合理か、美学か?」それはAI社会における最大の争点となるだろう。
すでに囲碁や将棋の世界ではその凄絶な葛藤が始まっており、
びっくり仰天の新旧攻防は上質なSF映画(例えばターミネーター)ばりに面白い。

何故かふと、いかに優秀な人工知能でも発想できぬであろう
格調高きインターナショナル小噺が脳裏を走り、
このウザい話のケツを取る。
「この帽子、ドイツんだ?」
「オラんだ」  

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2017年7月18日(火)その2902◆一丁上がり

落語(歴56年)
将棋(歴51年)
バッハ(歴47年)
フラメンコ(歴46年)

自他ともに認める飽きっぽい性格なのに、フシギとよく続いてる。
「伝統と革新がせめぎ合う世界」という共通項はある。
どれも今のショーバイには必須科目だから、
案外無意識にバランスしてた可能性もある。
仏教・キリスト・イスラムが隠し味になってることに今気づいた。
流行に鈍感だと、例えばこーゆーKYが一丁上がるわけか。

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2017年7月17日(月)その2901◆リスクの先

「安全そうに見えるルートが最も危ない」

安全に勝てる勝負など有りやしない。
将棋のプロ棋士を志したころ、骨身に染みた勝負の心得。
まさかそれが世渡りの方程式でもあったとは当時知る由もない。
誤った過保護が若者を骨抜きにする日本にあって、
勝負事と人生とは別物だと捉えていたし、
逆説的なこの方程式の深淵が実感とともにわかって来るのは五十過ぎである。
三年目となるパセオライヴの生命の躍動がそこにさらに拍車をかける。

危険そうに見えるルートについて、漠然とではなく具体的に
何が危険であるのかをとことん突き詰めようとする意志と正確な読み。
連勝ストップ後の第一戦ではそんな特性が中終盤の局面に顕著に現れていた。
保険を掛けない藤井聡太四段が勝負しているのは対戦相手ではなく、
ついつい安楽に陥りそうになる自分自身だ。
泣いて悔しがるズタズタな傷跡からしか生まれ得ない、
薄氷のリスクを読み切る確かな希望と技術。

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2017年7月16日(日)その2900◆うなぎ登り

「石塚さんて素敵な歌い手さんね。わたしもっと聴きたかったわ」

初代ミス・キャンパス(エリー)は開口一番そう云った。
先月の高校同級・四季の呑み会。
例のゴールデン帯でのテレビ出演で『ボラーレ』を熱唱したタカミツに、
いい歳のエリーはすっかりヤラれたらしい。
カラオケの機械採点でフラメンコの魅力が測れるわけもなく、
そのことをやたら彼女がくやしがってることがうれしい。
そんなタカミツを絶賛するエリーだが、一方でおれなんか
すでに44年間エリーを絶賛中である。

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大きなステージから小さな講座まで手抜きなく全力投球する
本格人気カンタオール石塚隆充。
多忙の合間を縫ってカンテ普及のためのレクチャーもコンスタントに続ける。
この7/23日曜13時、パセオ講座「誰にも歌えるフラメンコ」も七回目を迎え、
参加者数もうなぎ登りである。ああ、うなぎ喰いてえ。

http://www.paseo-flamenco.com/daily/2017/07/post_100.php#005916

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2017年7月15日(土)その2899◆アガペーの人

生(性)への渇望が〝エロス〟なら、
見返りを求めることなく一方的に与える愛が〝アガペー〟だ。       

ドゥエンデに同じく、後者アガペーに触れる機会は滅多にないが、
フラメンコにあって私たちは幸いにも、巨匠エンリケ坂井のさまざまな活動
(ギタリスタ、カンタオール、レコーディング、教授、執筆、音源復刻プロデュース、
そして何よりあのお人柄)にその実際を垣間見ることができる。
今週7/21金曜晩は、そのフラメンコの使徒による『カンテフラメンコ~奥の細道』。
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2017/07/626_1.php#005931

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フラメンコの貴重な古典音源を聴き、
レトラ(歌詞)の奥の細道に踏み込み、
マエストロ自らの弾き語りを参考に、
楽譜片手にその特徴的フレーズを皆で歌ってみる。
観る聴くだけの初心者から日本屈指のバイラオーラたちまで、
受講層がてんでバラバラなところが面白い。

受講後のあの嬉しく懐かしい感触の正体はいったい何だろう?  
リピーターも多い受講者それぞれは、そこで何を得るのか?
知識か、知恵か、上達か、インスピレーションか?・・・それとも?

(写真は2016パセオライヴにおけるマエストロ。ギター金田豊)

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2017年7月15日(土)その2898◆張り合い

「生きるのが商売だから」

乙川優三郎『芥火』の名脇役〝うら〟はキッパリ云う。
そのさっぱりと逞しい方針が、いつまでも人生の盛りを
生きているような瑞々しい艶を感じさせるのだろう。
張り合いを失う途端、人は皆ストンと老いる。

さて、ビンボー暇ナシもたいへん結構なのだが、
喰うための実務をやるヒマもないことが悩ましい。
なのでこの土日はパセオに缶詰で、
未来にヒマを産み出すための実務インフラを整備する。
昨日までにいらない過去資料(大ゴミ袋10杯分)をばっさり処分したので、
あとは残した有効データをさっぱりシンプルなシステムへと編み直すだけ。
その先の大幅時短が具体的にイメージできるので、この作業はけっこう楽しいはず。

先ほど明日明後日のパセオ特命番犬の依頼を受け、邪魔する奴はボクに任せろっ!
とジェーは大きく頷き(←業務終了後の桃園緑道オープンカフェのチーズケーキ狙い)
気合いを充実させている。
想い合う張り合いあるギブ&テイク精神は、
互いの老体の生き腐れを予防し合うのである。

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二日間のBGMは、先月旅立った高場将美さんにもらったピアソラと決めている。
1910年代のストラヴィンスキー『春の祭典』、60年代のビートルズ『イエスタディ』、
70年代のパコ・デ・ルシア『アルモライマ』などと並ぶ二十世紀屈指の名曲、
80年代のピアソラ『オブリビオン(忘却)』の二つのアレンジが泣かせてくれる。
う~む、忘却とは忘れないことなりか。

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2017年7月14日(金)その2897◆そもそもが

私「限界を恐れない人だよね」
パロマ「自分の限界というものを知らな過ぎるだけ。
 案外身体が弱いんですね。それなのにテンションが上がると
 軽々と体力の限界を超えてしまう。
 舞台で手を抜くなんてもっての他。猪突猛進、
 後先考えず持てる力をその場で出し尽くすのがモットーでした。
 体育系なんですね。こういう人なので、半世紀生きてきた今も
 そういうところは相変わらずで、まるで学習出来てない」
「うん、そもそもあの芸風で半世紀生きて来られたのが不思議だ」
「でしょ(笑)でも、そもそもセーブして何のメリットがあるのか?
 私の中では踊ることイコール命を削ること。
 精一杯踊らないと観に来ていただいたお客様に申し訳ない。
 ライヴは私の歓びそのものだから、どうしたってテンションが上がる」

 (月刊パセオフラメンコ2016年1月号しゃちょ対談㉗より)

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7/13小島慶子ソロライヴ反省会より。於:高円寺エスペランサ。
撮影はB忍あつこ(日本フラメンコ協会第八回新人公演奨励賞受賞)。
写真左より、B渡邉悦子ママ、G田代の淳ちゃん、Gパセオ小倉編集長、
B稲田進、C川島桂子、G尾藤大介、B小島慶子、Sセコンドのおぢちゃん、
G西井つよし、B本間静香。

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2017年7月14日(金)その2896◆連鎖反応

God helps those who help themselves.

「天は自ら助くる者を助く」と云うが、
パロマ小島慶子のステージには毎度それが在る。
救うのは協演者であり、観客であり、裏方であったりするのだが、
全身全霊で踊るその姿には、人の世の美しい側面が際立って顕れる。
高度なセンスと技術力だけではない、
保険を掛けない彼女の潔さ清々しさが、
美しい希望と共感の連鎖反応を引き起こすのだろう。

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パセオフラメンコライヴVol.60      
2017年7月13日(木)20時/高円寺エスぺランサ
小島慶子ソロライヴ
【出演】
小島慶子(バイレ)
西井つよし(ギター)
尾藤大介(ギター)
川島桂子(カンテ)
伊集院史朗(パーカッション)
稲田進(パルマ)

生還した川島桂子の歌声に大いに安堵した昨晩でもあったよ。
(写真は大森有起撮影)

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2017年7月11日(火)その2895◆いい通夜だったよ

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田代の淳ちゃんらとムイ・フラメンカの通夜から帰り、
安スコッチで明日のカルロス・サウラ新作(ホタ)試写会の予習中。
自身の通夜にさえ濃厚なアイレをブイブイ薫らせるアフィシオナーダ鈴木高子は、
何と云っても親子四代フラメンコの元祖だからねえ、
昔からそのインパクトもはんぱじゃなかった(笑)
ほんとはこの人ぜったい百まで生きるからまだまだ大丈夫って思ってたんだけど、
あの時取材しといてよかった。
この人記事にしたいって直観したら即やろうって、今日改めて決めたよ。
いつかやろうってことは、いつまでもやらないってことなんだね。
好ましい人を送る日というのは、何かひとつ賢くなる日なんだな。

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2017年7月11日(火)その2894◆ムイフラメンカ

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なんてムイ・フラメンコ!なカンテ、そしてバイレ。
高木高子さんが七夕の日に他界された。
鈴木眞澄の母であり、三枝雄輔と三枝麻衣の祖母である。
83歳、フラメンコな人生を生き通す見事な大往生だった。
その子孫は現代フラメンコの中核に在る。
今宵の通夜(ライフホール西川口)には顔だけでも出したい。

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2017年7月11日(火)その2893◆意外な事実

お前は逃げないからいいと云われるが、事実はちょっと違う。
そーゆー場合、腰が抜けちゃってて逃げるに逃げられないだけのことなのだ(汗)
誰しも欠点はある。まあ、このことも内緒で頼むわ。

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2017年7月10日(月)その2892◆防腐カンフル

カラっとした聴き心地の良さは、まるでメルチョール弾くタンギージョのよう。
主人公は気弱でお調子者の宿屋の番頭さんで、そのセコさとトホホさ加減が
とても他人事とは思えない・・なので100%感情移入(汗)

占い師を父に持つ彼の楽天的な連れ合いの機転で、江戸~神奈川~大阪を舞台に、
次々と起こる事件難題を解決する番頭さん。
大ピンチの中、紙一重で生じる逆転のドゥエンデ。
その奇跡の正体は、意外にも彼の内なるささやかな矜持と責任感。
なぜか微かなデジャ・ヴ。
心が腐りそうな気配を感じると、どうにも聴きたくなる話芸の毒消し。

名人円生による古典名作『お神酒徳利(おみきどっくり)』の一席。
映画では昭和の喜劇王エノケンが主役を務めた。
笑いの行間には喜怒哀楽の深いリアリティ。
スカッと突き抜ける余韻がたまらん熟睡の素。

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2017年7月10日(日)その2891◆不調はバネに

「私にとって三回目を迎えるパセオライヴ。
毎年何をしたら良いのか、正直悩みます。
昨年のライヴから約一年、またさまざまなことを経験しました。
一年前の自分より良く変わっているところはあるだろうかと、
必死に自分探しをしたり(笑)。
エスペランサという生の空間で、今の自分をそのまま
素直に表現できたら良いなぁと考えています。
信頼のおける仲間たち、そしてお客様とともに
爽やかな気持ちになれるライヴをめざします」(鈴木敬子)

 およそ三十年前、十代でスペインに渡り
六年間の修業を経て帰国した鈴木敬子を初めて観た。
それは彼女の先輩・高橋英子さんとのジョイントリサイタルだった。
コンパスの概念さえあやふやな時代で、本場スペインの
アーティストだけに可能だと思われていたアイレを身にまとった
その産地直輸入フラメンコに、関係者は大きな衝撃を受けたものだ。

あの頃の鈴木敬子はある種の揶揄を込め「テクニカの人」と称されていた。
年に一・二度のペースで彼女の公演を追いかけていた私が、
そのアルテの変化に気づいたのは15年ほど前のことだ。
持ち前の強靭でバランスのよいテクニカに加え、いつの間にか彼女は、
美しいメロディラインを全身でしなやかに歌いあげる芸風を身につけていた。
大怪我をして練習もままならぬ時期、
機械オンチの彼女が毎日パソコン教室に通い、
その操作技術をマスターしたのもあの頃だったか。
順調な折には順調なりに、不調な折には不調をバネに
新たな自分を発見しようとする、そういう逞しさは昔も今も変わらない。

 (月刊パセオフラメンコ2017年7月号より/小山雄二)

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2017年7月19日(水)
パセオフラメンコライヴVol.61
鈴木敬子ソロライヴ
【出演】
鈴木敬子(バイレ)
エル・プラテアオ(カンテ)
有田圭輔(カンテ)
ペペ・マジャ・マローテ(ギター)
【予約】
昼(セルバ)☎03-3383-0246/ 夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約:selva@tablaoesperanza.com
     
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2017年7月9日(日)その2890◆オリジナル

どこへ往くのもおめえ次第。
好きな匂いや景色を思う存分おっかけな。
それがこの宇宙にただひとつのオリジナル、
おめえさんだけの自由だよ。

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2017年7月8日(土)その2889◆カルロス・サウラの新作映画     

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その待望の新作は『JOTA ホタ』。

カルロス・サウラ監督の新作試写会の通知。
ただ、来週水曜13時とある。
この土日も出勤というチョー多忙期であり、
平日昼間にのこのこ外出してるヒマなどあるわけがない。
しかも試写会会場はパセオからめちゃ遠い江戸湾の月島だし、
尚かつ私は人生に対し生マジメな江戸っ子だ。
どー考えても、仕事はフケてサウラ三昧、
帰りにビールでもんじゃしかないではないか。

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2017年7月8日(土)その2888◆隷属なき道

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安楽死、公娼制度、同性婚、ワークシェア、酪農大国、
自転車通勤、粋な路面電車、バッハ演奏の本流・・・
まったくオランダという国には興味が尽きない。
日本に生まれてラッキーだったが、オランダには本音の魅力がある。

『隷属なき道』(文藝春秋刊)。
著者はまだ三十歳ほどのオランダ人歴史家、ルトガー・ブレグマン(1988年~)。
貧富格差の緩和を科学的に提案するあの聡明なる
ピケティ教授以来というキャッチについうっかり釣られた。

「人類は愚かであり、世界は破滅に向かっている」的な
いま流行りの厭世論とは真逆の発想である。
格差緩和と人工知能社会をリンクさせる手法には、
優れた歴史家らしい科学的な説得力がある。
人間のポテンシャルに関する彼の直観には〝パスカルの賭け〟以上の勝率を感じる。

そうした未来社会をイメージしながら日々生きるのが
世界中の年寄りたちの道楽だよと、昨日の藤井四段の、
敗勢にも希望を捨てることなく最善を尽くし大逆転に
漕ぎつけたシーンを観ながらつくづく想ったことです。

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2017年7月7日(金)その2887◆平松加奈ヴァイオリンソロライヴ

抜群の反射神経と豊かなインスピレーション。
そこに注目し過ぎては肝心要の彼女を聴き逃す。
それは類稀なる〝歌心〟。芯のある虚飾なき美音、
そしてシンプルにしてどこまでも深いフレージングは、
ストレートに人の心をときめかせながら安定させる。
あらゆる音楽をボーダーレスに弾きこなす、
個人総合では国際クラスのヴァイオリニスト。

現在スペイン演奏旅行中の加奈ちゃん。
ご帰国を待ち受ける、7・26パセオフラメンコライヴ!

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「イタリアのオペラも好きなんです」

 官能を謳歌するがごとく、踊るように弾き、歌うように奏でる平松加奈さんに、
ご自身の音楽のルーツを伺ったときに返ってきたこの言葉に深く納得したことがある。

 ライヴ終演後に交わす、ちょっとした会話にもその雰囲気は流れている。
彼女自身が奏でる音楽さながらのしなやかな振る舞いや、
時おり関西弁の混じる親しみやすい柔らかな甘い声に触れていると、
同じ女性ながらその魅力にドキドキしてしまう。
話すテンポも、声の抑揚も、周りの人の居心地を最優先する会話の選び方や深め方も、
舞台の上で加奈さんが放つ音楽のセンスと一貫している。
演奏活動のみならず、NHK番組の音楽を担当する等、
コンポーザーとしてもメジャーシーンで活躍する実力派ヴァイオリニストは、
この人の在り方そのものが美しい音楽であり、
その即興の閃きはそのままフラメンコにも通じていく。

「今回は、ピュアにシンプルに、私が今、
ヴァイオリンで奏でたいフラメンコを皆さまにお聴かせできればと思っています。
今回のメンバーは、そういうコンセプトでは最上の仲間。
ステージは人生と同じですね。過去も未来もその瞬間にはなく、
今だけ。その瞬間に発せられる高揚感、そこに起こるミラクルを大事にしたい。
7月はスペイン、コルドバの野外劇場で本番があり、帰国してすぐのパセオライヴ。
現地で培った空気、高揚感をそのまま音に紡ぐことができるのでは、と楽しみです!」

 (月刊パセオフラメンコ2017年7月号より/井口由美子)

2017年7月26日(水)
パセオフラメンコライヴVol.62
平松加奈ソロライヴ
【出演】
平松加奈(ヴァイオリン)
大渕博光(カンテ)
柴田亮太郎(ギター)
海沼正利(パーカッション)
【予約】
昼(セルバ)☎03-3383-0246/ 夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約:selva@tablaoesperanza.com

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2017年7月7日(金)その2886◆漱石&グールド

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夏目漱石を愛したグレン・グールド。

漱石のアート論『草枕』が特にお気に入りだったという。
映画にしにくい小説だが、
全編グールドのバッハ演奏で創ってみたいものだ。
メインで使いたいのはゴルトベルク変奏曲、パルティータ、
そしてフランス組曲あたり。

漱石の結論とも云うべき地味だが美しいラストシーンは、
フランス組曲の第一番がいい。
淡々と湿り気のないスタッカートでアップテンポな演奏だが、
右手左手のニ声にはエロース本来の自立協働の躍動があり、
むしろ究極の男女愛さえ見え隠れする。
ああ、漱石先生に見せたい、聴かせたい。

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2017年7月6日(木)その2885◆博士の至言/その2

人の本当の価値というのは、
その人自身から見出すことはできない。
それは周囲の人々の表情や雰囲気の中に、
ありありと浮かびあがってくるものだ。
           (シュバイツァー)

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