日刊パセオフラメンコ

2018年01月08日 「タブラオの芽」エスペランサの11月


タブラオの芽/2017年12月のエスペランサ
────────────────────────────────────────

 かつての若い人、今若い人、適度に若い人、それこそ小学生から古稀を過ぎた高齢者まで、さまざまな年齢層のアーティストたちが出演するエスペランサ。
12/15は旧知の渡邉薫さん、齊藤克己さん、初顔合わせスペイン在住の福原恵理さんのトリオによるライヴ。予定していたギタリストが急に変更になるというアクシデントがあったにも関わらず、初志貫徹のファルーカを踊った薫さんはもちろんのこと、ギターの尾藤大介さんもお見事。一昨年の協会新人公演以来のバイレソロをしかも2曲踊った克己さんはアフターのフォローもお手の物だし、恵理さんの迫力ある踊りにお客様は大拍手。さすがベテランのおふたりと本場で活躍中の実力者だけに、にわか合わせをものともせず、潔いライヴで客席を魅了した。
 年の瀬の12/23~24は、ギターの鈴木尚さんプロデュースのライヴ『ヴァイオリン三木重人さんをゲストにギターソロの会』、そして尚さんと仲間たちによる『魅惑のクワドロフラメンコ」を二日間にわたって開催。二晩ともに尚さんのフラメンコギターソロに引き込まれ、しっかりと心をもって行かれた。素直に「いいなあ」って感じられるギターって本当に素敵だ。昨年までは新春ライヴの常連だったチャリートさんと、実に久しぶりの小池重子さんの名前を見つけて喜んだこの企画には、チャチャ手塚さんと、吉田光一さんが加わり、カンテは石塚隆充さんという万全の布陣で、そりゃあ尚さん嬉しそうだっだわけだね。
 12/1は我が兄・田代耕一、12/14俵英三さん、12/23鈴木尚さん、12/27三澤勝弘さんが登場。戦中から戦後の混沌とした時代を駆け抜けて60代70代となった猛者たちが四人も出演。今でこそ伴奏や演奏の仕事に恵まれるフラメンコギタリストだが、当時は何の保証もないフラメンコギターなる代物に人生と精力を傾けた偉大なる冒険者たちだ。それぞれの生き方、大切にしてきたアルテ、フラメンコに対する考え方、価値観、好みが、自分の"こだわり"となってギターの音色に託して語られるのだから、ひとりひとり違って当然だし、みんなそれぞれに素晴らしくて、どうしたって感動してしまう。近年進境著しい音楽家のフラメンコギター(それはそれで文句なし)とは一線を画しながら、己のギターに誇りを持っている姿は、観ていて聴いていて清々しく、また羨ましく感じられる。それはきっと、そうなれなかった者(自分)のひがみと憧れかもしれない、と自戒しつつ2017年も暮れていくのだった。