日刊パセオフラメンコ

2018年06月20日 「タブラオの芽」


タブラオの芽/2018年12月のエスペランサ
────────────────────────────────────────
故郷は遠くにありて思うもの。とはいえ、東京駅から直通バスで70分という東金市では郷愁も何もあるまい......、と言われても仕方ないところ。
その東金市から東金市民ホールでのフラメンコショー・プロデュースの依頼があった。
 一般的にこういうケースのお決まりは、先ず「スペイン人を入れて欲しい」、次いで「予算が少ないので」と、こう続く。「スペイン人を入れると、ギャラが嵩みますよ」「えっ、そんなに!?、全て込みで○○しかないのですが...」「それはかなり難しいですね」で、ご相談となる。だが故郷を離れて55年、東金での初プロデュース公演となると、話は別だ。
 聞けば東金市民ホールは毎年低額でのコンサートを開催しているという。
今回も2000円という破格の入場料だった。この低価格で予算云々を言うのは酷というもの。心の高ぶりに加えて、間に入ってくださった方(ピアノの先生)の対応の良さが相まって、そりぁ、何としてでも成功させなくては、と意気込んだのは当然のこと。
 バイレにロシオ・ロメロ、カンテはディエゴ・ゴメスのスペイン人。加えてAMIさんと小林成江さん、AMI舞踊団の3人。ギターは今や旬の尾藤大介さん、宇田川卓俊さんの2人。極めつけは齊藤克己師匠という10人構成で、いざ鎌倉ならぬ東金へとなだれ込んだのだった。
 打ち合わせの途中でわかったのだが、10月に赴任してくる方が、母校である千葉高の一級先輩であることも判明。しかも最近まで館長だった人は中学の同窓生で、高校受験に一緒に行った人らしいこともわかる、極めつけは親父の話だった。名前は伏せるが、このホールでも演奏するという高名なピアニスト(世界コンクール優勝経験あり)の話になった時だ。えっ!!
その人って幼少の頃、父からよく聞かされていた父の自慢の教え子ではないか。これには驚いた。
 そんんこんなで打ち合わせをしているのか、よもやま話をしているのか、わからなくなった頃に迎えた本番。300のチケットは完売。満席、大盛況。あとから回収されたアンケート用紙には、大満足のコメントがずらりと並んでいた。蛇足だが、その日の仕出し弁当は、どうも中学の同級生の寿司屋らしかった。
 近場でも故郷は故郷。最終の東京行きの直行バス(貸切状態)に揺られ、ぼんやりと外を眺めながら、柄にもなくしんみりとしてしまった。