日刊パセオフラメンコ

2019年02月01日 しゃちょ日記/初級社会人

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2019年2月10日(日)その3463◆初級社会人

気ままでお笑い好き。
常軌を逸脱しやすい性格。
学問・修行・薬やらでは治らない。
なので日常的にバッハに親しむ。
現在グールドのパルティータ第三番で経理中。
何があっても潔くケリをつける美しい構築性の響き。
そんな効用から、バッハ中はそこそこ社会人初級。

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2019年2月9日(土)その3462◆文学健在

『緋の河』本日最終回。
作:桜木紫乃、画:赤津ミワコ。
東京新聞の夕刊連続小説で、ほとんど欠かさず読み切った。
ラストの収束も自然で、透明で好ましい余韻を持続させる。

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ゲイという宿命を誇り高く生きる秀男(モデルはカルーセル麻紀さん)の、
幼年期から青春期までを描くリアルディープな純文学。
まともな選考委員が仕切れる文学賞ならブッチ切り受賞は確実。
職業柄身近なテーマだし、なるほど、そういうことだったかという細部の発見も多い。
この先無駄な偏見や忖度をそぎ落とすことも可能だろう。
マスメディアの啓蒙記事などでは決して踏み込めない領域に真っ向突っ込んだアルテ。
文学の実力を改めてうれしく心強く思ったことです。

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2019年2月9日(土)その3461◆ストラヴィン症候群

雪は降るのか降らんのか。

土曜午前、早くも壁にブチ当たり、我知らずハルサイCDに手が伸びる。
この特異な管弦楽の野趣と官能が直接の問題解決につながるわけではないが、
焼いた魚をバリバリ頭から喰うような逞しい気分に充ちてくる。

苦手なロックの原初の生態を聞くようで、
当初はたちまち耳が拒否反応を起こしたものだが、
冒頭近くの有名な攻めのリズムが何ともセクシーで、
くやしいことにミイラ取りがミイラになった。
十代から二十代にかけては、チャイコフスキーやプロコフィエフそっちのけで、
このストラヴィンスキー『春の祭典』のバレエ公演を片っ端から追っかけたものだ。

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機会さえあればまたあの頃のラディカルなエロエロ気分に浸りたいものだが、
昨秋スペイン国立バレエ団の極美の余韻が充満している間は、
かつての発作(ストラヴィン症候群)が再発することもなかろうし、
また、あのリズムで狂ったように踊り出すこともねえだろう・・ってゆーか、
つべこべ云わずはよ仕事しろっつーの。

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2019年2月7日(木)その3460◆萩原淳子ソロライヴ

底なし沼のような実務を切り上げ、
さあ、今宵はこれから飛び切り上等ライヴ!
プログラム(↓)も斬新じゃあ!

1. 最初の宴
2. ギターソロ
3. 20年目にして踊る。
4. カンテ・ソロ
5. 20年前から、そして20年後も。
6. 最後の宴

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演目が変更になることもございます、とあるが、
変更になっても、どこがどう変更になったのか
まるで分からないところが斬新であるっ!
ではご来場のみなさん、受付でお会いしましょう。
ぱっと見トムクルーズなのがわたすだす。
で、パセオ公演忘備録の執筆担当は
往年の大女優風・関範子でござる。

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2019年2月6日(水)その3459◆一眼国

「諸国を歩きまわっているお前さんだから、
 ヘソで唄を歌ったとか、足がなくても駆けだしたとか、
 そういう変わった人間もたくさん見てるだろ?」
それを見世物にして金儲けを企む興行師の親方が旅人にこう問う。
旅人は、旅先の森で五つくらいの女の子に声をかけられた話をする。
その子供には眼がひとつしかなかったので、
驚き腰を抜かしながら必死で逃げ出したという。

そりゃ儲かる見世物になると、親方は旅人に教わった森に出かける。
日も暮れ煙草をふかしていると「おじさん、おじさん」と呼ぶ小さな女の子の声。
しめた!と振り返れば、そこには一つ眼の女の子が。
親方は女の子を小脇に抱え一目散で駆け出すが、
子供の悲鳴を聞きつけた百姓たちが大勢追いかけてくる。
なんと、みんな一つ眼である。
「この人さらいめ」と寄ってたかってふん縛られ、突き出された先がお奉行所。

「こりゃ人さらい。面を上げい」
 捕まった親方ひょいと見上げると、お奉行も役人もみんな一つ眼。
 奉行の方も、二つ眼のある人間にびっくり。
「やや、こやつ眼が二つあるぞ。
 調べは後まわしじゃ、すぐに見世物に出せい!」

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初めて先代正蔵師匠の『一眼国』を聞いたのは小学生時分だが、
いなりに妙に気にかかる落語だった。
不可解な人間の業について、遠い未来までをも見通すSFの鬼作。
いわゆる差別・逆差別の問題を整理するとき、
この『一眼国』の視点は、ちょっと頭を冷やすのに最適な原点。

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2019年2月4日(月)その3458◆善は急げ

最新定跡では先手良しとあるが、
これこれこう指せば後手良しではないか?

昔も今も最も権威ある月刊将棋専門誌の質疑応答欄に
そう投稿したのはプロ棋士をめざした高一のころ。
戦型は当時の流行〝飛車先交換腰掛け銀。
その終盤入り口の最も過激な変化。
恐るべき結論を示してくれた回答者は、当時の若手最高峰、
のちの第十六世永世名人・中原誠である。
むろん軽はずみな私のアイデアは、秘手とも云うべき
受けの妙手によって木っ端微塵に吹き飛ばされた。
だが、問わなければ真相は闇のままだったその質疑応答が
アマチュア将棋界の話題となり、
当時高名だった民間のスポンサー付き研究会に私は迎え入れられた。
花の16歳、そのことが人生最後の栄光だったことに当時は気づくはずもない。

今枝友加さんの熱烈大推薦(パセオ3月号、エンリケ坂井師とのガチンコ対談)から、
パセオで大喜利的質疑応答の連載を担当してくれることになった
〝さすらいのカンタオーラ〟井上泉さんとやり取りするうちに、
ふと半世紀近く前のこんな懐かしいエピソードが蘇った。
締切三ヶ月前に送ってくれた、フラメンコな本音を隠さない泉さんの初稿は、
青春の薫りと旅芸人らしい美しい矜持でいっぱいで、
ページ不足もなんのその、こうなりゃもう前倒し掲載を検討するのみ。

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2019年2月4日(月)その3457◆楽しみ多き

人生を懸けた勝負と切磋琢磨の研究は、
すでに絶対的な正解に向け八割程度まで進んでいる。
時の権力(信長~秀吉~家康)や明治以降の巨大メディアの援護を仰ぎつつ、
さらに選りすぐりの最高頭脳をもってして、
囲碁や将棋の真理探究はここまで来るのに四百年以上かかった。
            
ところがAIの急進化により、実際には棋界の研究の成果は
全体の二割程度に過ぎないことが判明した。
それが現在の将棋界・囲碁界における最大の悩み&希望である。
絶対知性を誇ったジャンルはもとより、あらゆるジャンルにおいて、
それまでの〝絶対〟が崩壊する時代。
   
伝統は一定の評価を小さく得るものの、革新の可能性は倍以上に膨らむ。
つまりベテランは青ざめ、逆に若手は成り上がる希望を見い出す。
AIが核戦争をもたらさぬ限り、これからしばらくは若きチャレンジの時代となるだろう。
色褪せぬ伝統や古典を愛し続けた私にとっては受難の時代なのかもしれない。
              
だが、あらゆる伝統や古典が、当時の先鋭的革新だったことに想い至れば、
むしろこれからは楽しみの多い時代なのだと整理できる。

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2019年2月3日(日)その3456◆まずは足元から

原稿締切の約束を守ってくれる執筆者は二割で、
残り八割は確信犯のシカトだった。
そういう腐れきった状況にうんざりし、営業一本の生活に区切りをつけ、
自ら文を書く練習を始めたのが十余年前。
いざとなったら全部自分で書いちまえという方針で編集長になってから、
約束を踏みにじる執筆者は激減した。
締切破りの確信犯に関心を持つのをやめた〝鬼〟の誕生である。
仏の顔も二度までで、ニッコリ笑って人を斬るのが鬼である。

かつての三人分の仕事を一人でこなすのが零細出版界の現状だから、
そういう綱渡り連携の中、仲間同士(編集・執筆・デザイン・校正・印刷・配本等)
の締切破りは全体の命取りになる。
それはライヴ本番に出演者が到着しない状況と同じだから。
ネットの隆盛もあるが、出版界の衰退に拍車がかかる理由はここにもある。
出版が好きなので、内輪で出来ることから改善したい。

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2019年2月2日(土)その3455◆出ごろ

相棒の旅立ちからひと月。
十六年の余韻はしばらく続くのだろう。
やわらかに背中を包む夢が、いまも胸を和ませる。

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向こうで待ってる、
みたいなファンタジーも悪かないけど、
今しばらくオレはこっちで仕事がしたい。
おいジェー、待てねえようなら化けて出てきな。
明日の朝からおめえの好物(おでん)仕込むんで、
出てくるのは昼ころがベターだ。

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2019年2月1日(金)その3454◆全開するアート

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鍵田真由美の清冽な名人性、アルテイソレラの精緻と熱情、
佐藤浩希の構成演出の鬼才、そして小川未明『牛女』の普遍性に改めて降参。
そこに今回、中島千絵の音楽が最良リンクしていた。
天皇皇后両陛下を感嘆させる、これほどまでのアートの全開に
フラメンコ界はほぼ無関心。
まあ、だからこそフラメンコとも云えるわけだが、、、
ほんとうにそれでいいのか?

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2019年1月31日(木)その3453◆シフトチェンジ

続く呑み会には身体がもたず、近ごろはおとなりカフェGILの
ランチミーティングにシフトしつつある。
    
そのランチ会議で、今週は7月号からの新連載が二本決まった。
エンリケ坂井プロデュースCDシリーズ〝グラン・クロニカ〟の
執筆でもおなじみの福久龍哉さんによる『プーロフラメンコ最後の巨匠たち』。
もう一本はカンタオーラ井上泉さんの何でも相談室的『フラメンコ大喜利』。
今日も午後からご近所バイラオーラ井山直子さんと珈琲ミーティングだ。

今日で1月もおしまい。
月末の銀行まわり、デザイン入校多数、小記事執筆が三本、
そして宵から元地元・代々木上原ムジカーザで待望のデスヌード『牛女』。
パセオ忘備録執筆は三月に編集部復帰の井口由美子。
終演後は徒歩7分、懐かしの代々木八幡〝どさんこ〟にてへべれけ定跡。
酔いどれ編集長返上への道のりは今なお遠し。

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2019年1月28日(月)その3452◆ダメ元

いまもそうだが、時おりサントラを聴く。
男女の綾という点では、やはりこれが一番か。
淡すぎる希望に向けて突っ走るラストシーン。
ダメ元・・・!
それこそがこの映画、いや、人生の肝だ。

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2019年1月27日(日)その3451◆太陽がいっぱい

『太陽がいっぱい』

秋からの多忙がひと段落し、いっぱいの朝陽を浴びながら
ささやかな幸福に浸る日曜朝の桃園緑道。
映画だとこのあたりでデカにとっつかまるオレ(ドロン)なわけだが、
無事パセオにたどり着く逃亡者的快感。

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編集整理、メール連射、髪カット、2020セビ発起人会、協会新年会、
おつかれ会と、楽しい休日の暮らしそのものに没頭しよう。
今日という日は残り少ない人生の最初の日。

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