日刊パセオフラメンコ

2019年07月14日 しゃちょ日記/音楽遺産

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2019年9月19日(木)その3633★音楽遺産

この三週間ばかり、スカルラッティを二十枚ほど聴いた。
オリジナルのチェンバロ演奏も当たり前にステキだが
ピアノやギターも楽しい。
ソナタ555曲を全曲録音(CD34枚!)したスコット・ロスの
冴えた緊張感がチェンバロの定番だが、
ピアノだとプレトニョフの二枚組(全31曲)の
筒井康隆的解体再構築性がピリッと刺激的。
ギターだと「禁じられた遊び」で有名なイエペスの
独特なロマンティシズムが懐かしい。

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さて、時空を超えて未来の決定盤となる可能性が高いのが、
我らがカニサレスの2015年録音。〝音楽的純粋〟という点で、
意外にもオリジナルのチェンバロ演奏よりも雑味がなくて、
つまり楽器の特殊性を超えて、
スカルラッティの普遍性が透明度高くダイレクトに響く妙演。
インプロヴィゼーション(即興)においてパコ・デ・ルシアを凌駕した
天才フラメンコギタリストが、18世紀バロック音楽の領域において、
こうした地味でインテリジェンスな歴史的快挙を
成し遂げたギャップに今も戸惑う。
純粋理性に基づくコンテンポラリー形而上学とでも云うべきか、
カニサレスの真髄を知る自分の好みからは程遠い演奏なのだが、
決して手放すことのできない、未来に鋭く貢献する
第一級の音楽遺産であることだけは断言できる。

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2019年9月18日(水)その3632★仰天

さすがにくたびれた。
ひたすらハードだったこの夏のおつかれ慰労会は、
実質副編の戦友・井口とオープン間もないご近所和食の〝まち〟で。
定休月曜にオーナー自ら釣り上げた魚を喰わせる火曜日に照準を合わせる。
しっかり編集ストックを貯め、
明日からいよいよ白内障の治療準備に入るので、
しばらくは深酒とはおサラバであるからして、
やたらイキのいい肴で熱燗の最好コース。
鯛刺し、のどぐろ、あん肝、えび天の躍動に思わず天を仰ぐ。

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2019年9月17日(火)その3631★大歌手

来週木曜はディエゴのパセオライヴ。
毎回彼の歌唱力には胸が熱くなる。
時の運さえあれば、世界に羽ばたける実力がある。
ソロライヴで積み上げつつ、じっくりその時を待とう。

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2019年9月16日(月)その3630★軽労精神

軽労の日だったので
半日ほど働いて、
大吉で呑んだ。

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2019年9月15日(日)その3629★迷子定跡

「迷子になった」
  
私のSOS携帯を受け、直ちに現場に駆けつける西田の昌ちゃん。
土曜晩は先ごろ彼のオープンしたスペインバル AOYAMA TOROでの呑み会。
メトロ表参道から三分、青山学院大の真ん前なのに
またしても路頭に迷うのが私の定跡である。

先週ネットに『ミルフラ!』を立ち上げたShin Horiの激励会で、
謎の超美女の出現もあり、もろもろ大いに盛り上がった。
各々にムチャ振りした難題にも潔い快諾をいただき、
先々の楽しみがジャカスカ増えた。

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2019年9月15日(日)その3628★都電の味わい

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土曜の都電の旅はステキな気分転換をもたらしたが、
小さな収穫もふたつあった。
「都電パンケーキ・380円」と「都電ブレンド珈琲・330円」である。

用もねーのに都電に乗るのが大好きな貴方、
終点三ノ輪に到着次第ぜひお試しください!
(ああ、そんな奴おめーだけだよっ!的ツッコミが
 全国各所よりこだまするよーです TT)

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2019年9月14日(土)その3627★旅の終わりは

いよいよチャンス到来、
今日こそ都電の旅と決め、残務は明日明後日に託す。
早稲田⇔三ノ輪を往復するささやかなタイムスリップで、
夏の疲れとおサラバの段取り。

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宵から青山TOROにて、頼もしい若人たちと
互いに世代間ギャップに馴染む呑み会。
旅の終わりはいつでも、新しい旅の始まり。

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2019年9月14日(日)その3626★ファンタスティック!

ポパイのほうれん草などファンタジーかと思っていたが、
もろもろシュッと解決してくれる
私にとっての朝晩のオレンジがまさしくそれだったとは!
しゅっ!!!

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2019年9月13日(金)その3625★ユリゴゴロ

「けれども、年をとるというのは、たぶん、混乱を混乱のままに
 抱きかかえて生きられるようになることではないだろうか。
 人間の心そのものが、永遠に解き明かせないひとつの混乱だと、
 知ることではないだろうか」
   沼田まほかる『ユリゴコロ』より/双葉文庫

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おとなりGilの賀子(かのこ)とのゆる~い交換読書シリーズで、
一週間ほど前にまわってきた。
じゃんじゃん人の死ぬ猟奇本だと渡されたが、
美貌の凄腕バーテンダー賀子のことだから、
そこは何かあるはずだと踏んでいた。
ランチタイムのGilでぼちぼち読み進めていたが、
中盤以降の畳み掛けるような展開に制止困難となり、
早めの帰宅でめしも食わずに先ほどイッキに読み終えた。
冒頭の本文引用が主要テーマのひとつかと想われる。
なるほど、この時代にあっても、まだまだ小説の底力は圧倒的に大きい。
1948年大阪出身、主婦・僧侶・会社経営などを経て2004年、
第5回ホラーサスペンス大賞受賞・・という著者経歴にもびっくり。

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2019年9月12日(木)その3624★歓迎と期待!

新たなネットワーク誕生に歓迎と期待を!!!

http://mirufla.com/?fbclid=IwAR3_qAVM4ZJk-YQFO_3PhTYiCFtjbgluHt9TpIviuV9gU_KwDeWOX3FNK2Q

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2019年9月11日(水)その3623★格違い

夕方の雷雨。
パセオ社長室(=屋上、机なし、電子タバコ可)の排水が気になり、
駆け上ってみると案の定、先日の嵐で運ばれてきた木の葉やら何やらで
排水溝が塞がれてヤバいことに。
せっせと掻き出し終わった頃に雨も小降りとなって事無きを得る。

まったく最近のお天気さんは自由奔放である。
だが何と云っても、お天気さんはすでに46億年も
現役やってる超ベテランで、ずっと地球を守ってきた。
それに対して我ら人類は、お天気さんの「10000分の5」程度の
経験しか持たないルーキーでしかなく、
さらに核爆弾や環境破壊で常に地球を脅かす。
対等な付き合いなど望むべくもない。

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2019年9月10日(火)その3622★往復340円

そろそろ〝都電〟が切れてきた。
それもそのはず、正月から多忙だった今年はまだ一度も乗ってない。
この三十年、用もないのに都電(早稲田⇔三ノ輪橋)に乗る行事は、
自分に対する最良のご褒美となっている。
往復340円、基本的に金のかからない奴だ。

中野から東西線で三つ目の早稲田に出て、
都電早稲田駅から終点の三ノ輪橋まで片道約一時間の旅。
専用車線が多くを占める沿線には東京下町・昭和の薫りがたっぷりで、
見飽きることのない車窓はまるで名画たちの展覧会のよう。
三ノ輪駅前の珈琲館でゆっくり炭火を楽しみ、
今度は逆方向から早稲田に向かう。
明治通りを横切る梶原から王子までの数分は、
完全に独りタイムスリップしている。

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2019年9月10日(火)その3621★微かなプラス

時の運・人の運でそこそこ楽しく暮らしているが、
歳とともに人生はプラマイゼロと実感する出来事が増えてきた。
私の場合は「何も残せない」のが実情だが、
逆手を採って「何も残さない」と決めた頃からより気楽になった。
ハードルを下げてのびのび暮らす。
淡々と微かなプラスを狙う魂胆はミエミエだが。

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2019年9月9日(月)その3620★台風一過

あっちゃもこっちゃも大混乱。
とりあえず、おっとり刀で珈琲タイム。

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2019年9月8日(日)その3619★あの人はいま

「さあ・・誰とでもふつうに話せる人じゃないかな」

教養人の特徴についてこう答えた唐笠(とうがさ)先輩。
そのアイレはまるで映画のワンシーンのようだったから、
当時19歳の私の記憶に鋭く突き刺さっていたのだろう。
45年も昔のやりとりを唐突に想い出し、昨日のFBにメモした。
バイト先の優しい狼のようなこの先輩は三つ四つ歳上で、
当時〝生協〟に深く関わっていた。
ふと思い立ち、いくつかのキーワードでPC検索してみると、
独特な名字でもありすぐに消息がわかった。
その意味では便利な時代で、プロフィール写真も
ご本人に違いないことを証明していた。
現在の先輩はコープの全国組織の現役要職だった。
そうか、やはり先輩は初志貫徹、あのまま突っ走り続けたんだな。
「綺麗ごとじゃないんだ、世間に役立つことが自分を救うんだよ」
     
家から1分のところに、週に三度は通う大きなコープがある。
これからは買い出しのたびに唐笠先輩を想い出すことになるのだろう。
再会したい気持ちもいっぱいだが、
想い出が美しすぎて、すぐには踏み出せそうにない。

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2019年9月8日(日)その3619★教養人とは?

「教養のある人って、どんな人ですかね?」
朝シャワーを浴びながら、ふと、
四十五年も昔のワンシーンの断片が甦る。
バイト先のインテリ唐笠先輩は、
ゆっくり煙りをくゆらせながらこう云う。
「さあ・・誰とでもふつうに話せる人じゃないかな」

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2019年9月7日(土)その3618★カトランの安堵

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ざっくばらんで親しみやすい。
初めての倒産危機のころ、大いに癒された。
たぶん、奔放な色彩に本能が安堵したのだと想う。
楽観とも異なる、明るい捉え方を知ったかもしれない。
ベルナール・カトラン(パリ/1919~2004年)。

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2019年9月6日(金)その3617★パセオ10月号

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今月20日発売の表紙はこんな感じ。
アントニオ・ぺレス撮影、
ウトレーラの子どもたちのフラメンコ・フェスティバルより。
女の子の突き抜けた表情にイチコロでこれに決めたよ。
てんこ盛りの中身もモロ濃いぞおっ!

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2019年9月5日(木)その3616★揺らぎ

酒と炭水化物を減らした分だけ、野菜やフルーツに食いつくこの三ヶ月。
野菜ならブロッコリ、トマト、レタスあたりを毎日むしゃむしゃ食う。

ブランク五十年のフルーツはひと通り試したが、
現時点での相性はネープルオレンジがダントツで朝晩食ってる。
程よい甘酸っぱさで、カブりつくなり内臓が
しゅっと開放されてゆく感じが妙にしっくり来る。
心がもたれる時など、瞬時に気分をしゅっとさせる、
リンデ先生のトラヴェルソの感触に近いな。

ハンス・マルティン・リンデ。
高校時代にハマったトラヴェルソフルート(ヨコ笛)と
ブロックフレーテ(タテ笛)の伝説的名手。
若手陣の指とブレスの技術進化はめざましいが、
シンプルにして豊かに奥深い音色だけは、この先生にはまるでかなわない。
この命題はおそらく、世界の芸能に共通する〝揺らぎ〟がキーワードなのだと想うが、
これは本格的AI時代初期にクローズアップされる課題かと予想する。

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2019年9月3日(火)その3614★アホ塩ナード

しばらく音楽三昧の夜が続いたので、
寄席に行ったつもりで早めに仕事を切り上げ、今宵はどっぷり落語を。
志ん生(唐茄子屋政談)、円生(寝床)で爆笑し、
さあ、次は何を聴こうかと思案中。
小三治、枝雀、喬太郎、桃太郎と次々候補があがるのだが、
もう一席で打ち止めるつもりなので、かえって迷う。
まったく贅沢な悩みで、いい時代に生まれたものだとつくづく想う。

保育園の頃からラジオの落語番組にかじりついていた。
十代はテレビ、二十代はレコードで、
車の運転中はカセットで古典・新作を聴きまくった。
最も多忙だった三十・四十代はそれでも小三治師匠や小朝師匠の独演会に通い、
何とか落語界に金を落とそうと購入したレコード・カセット・CD・
ビデオ・DVD・関連書籍は千を超える。
パセオが軌道に乗ったら落語の月刊誌を創刊するつもりだったが、
三十六年経っても軌道に乗らないまま今日に至り、
役立たずの落語アホ塩ナードをつづけている。

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 (よらんだ画)

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2019年9月2日(月)その3612★人類愛

時速300キロ超で電車が走る時代。
100メートルなら1秒以内で走るが、
それを9秒台で走る人間は世界の賞賛を浴びる。
ならばチェスや囲碁や将棋のプロがAIに破れても、
プロ棋士たちのプライドが傷つく時代は、もう終わってもよさそうだ。

きのう日曜のNHK将棋トーナメントで圧勝した
私のイチ押し佐藤康光九段は、それでもAIを打ち負かそうとする
凄絶な独創将棋を指すので、苦笑とともに応援せざるを得ない。
読むヒマなくとも著作は全部買うのが応援。
タイトル歴13期の元名人で指折りの強豪、
羽生世代の49歳、日本将棋連盟会長である。
多忙で薄謝な会長職など一刻も早く辞し将棋アートに打ち込んで欲しいが、
フェアでシャープな大人なので、なかなか辞めさせてもらえそうにない。
冷静な熱情家・佐藤康光は、人類の志を愛しているのだ。

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2019年9月1日(日)その3611★3バカトリオ

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プリメラのチコさんのニューウェイヴ公演、
『バイレソロの一曲入魂』開演前。
赤いチャンチャンコを、柄の悪いのが両脇を固める。
間瀬がいりゃあ、4バカカルテットで撮れたのになあ

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2019年9月1日(日)その3610★名曲迷演

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アルハムブラの想い出。

突然聴きたくなることがあって、
いまも十種ばかりその名演に浸っているところ。
グッと来るのはやはり、高校時代お手本にした
ジョン・ウィリアムスとパークニングの録音。
実演では原善伸、次いでデヴィッド・ラッセルが最高だったな。
名曲の名演というのは意外と少ないものだ。
かつて同じ弾き手でこのアルハンブラを数千回聴いたこともある。
とても名曲とは思えなかった。
云うまでもなく弾き手はおれだ。

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2019年8月31日(土)その3609★暗闇に象を評す

まっ暗闇の中に象がいる。
「丸くて太い棒のようだ」
象の鼻にさわった者はこう云う。
牙や耳や胴や背中や足や尻尾にさわった者も、
それぞれの感触を述べる。
皆の感想は部分的に正しいが、
象全体のイメージはつかめていない。
ローソクでもあれば一目瞭然なんだが・・・

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毎夏の新人公演やプリメラ祭を観るたびに想い出すのがこの話だ。
ああ、相変わらずおれもこの内のひとりだ。
宗教もアートも、国家も会社も家族も、相変わらずその内のひとつだ。
個人も組織も、ローソクの機能を探す旅には終わりのないことを想い出す。
そこには虚脱も後悔もあるが、それがゆえに希望もあるし退屈もない。

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